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「何が爆発したのか? ロシア爆発事故の謎」(ここに注目!)

石川 一洋  解説委員

ロシア北部の軍演習場で爆発事故があり、周辺の放射線レベルが一時上昇する事故から一か月、米ロの核軍縮の枠組みが崩れる中、この事故は何を意味するのでしょうか?石川一洋解説委員です。

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Q 石川さん、二人の大統領、何をしているのですか?
A プーチンさんは放射線監視モニターの接続を切るなど事故の実態を隠そうとしています。一方トランプさんは衛星で覗いたり、漏出した放射能を集めたり、マントに隠れた兵器開発の実態を探っています。
公式発表では、先月8日ロシア北部の演習場の海上で液体燃料エンジンの燃焼実験をしていたところ爆発して5人が死亡、現場から30キロ離れた町でも放射線レベルが一時通常の16倍に上昇しました。
さらに死亡したのが「全ロシア実験物理学研究所」の専門家だったことに驚きが広がりました。

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Q 実験物理学研究所?物理学の研究所ですか?
A 物理学、この言葉が曲者です。ソビエト時代、核兵器のいわば隠語として物理学という言葉が使われ、物理学と名前がついている研究所は核兵器に関連していることが多いのです。この実験物理学研究所は、まさに核兵器の設計開発の頭脳で、かつて存在そのものが隠されてきました。今は、基本情報は公開されていますが、研究の中身は厚い国家機密のベールに包まれています。

Q 核開発の頭脳が関係して何をしていたのですか?
A 一か月たっても実態は謎です。現地メディアの報道では放射能に汚染された艀がいまだに放置され、ロシア気象庁はこの事故でストロンチウム91など核分裂と関係した放射性物質が放出されたことは明らかにしています。

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一つの見方は、去年プーチン大統領が発表した原子力動力エンジンを使う新型巡航ミサイルで、その名も海燕!これに関係した実験という見方です。ただこの他、超音速の高速ミサイル開発のための核同位体を使った新型の液体燃料エンジンの実験など様々な説が出ています。
いずれにしてもこの事故は米ロが新たな核ミサイルの開発競争に入っているという恐ろしい事実を示していると思います。

(石川 一洋 解説委員)

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