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「インド 月探査のねらいは」(ここに注目!)

安間 英夫  解説委員

イラスト解説「ここに注目!」です。
インドが打ち上げた月面無人探査機が、あさって(7日)月に着陸し、成功すれば、アメリカ、ロシアの前身となる旧ソビエト、中国に続いて世界4か国目となります。
この計画、月の探査を目指す日本にとっても、注目されています。
安間(あんま)解説委員です。
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Q)月の無人探査機の着陸は、インドが4か国目になるのですか。
A)
そうなんです。
インドの探査機の名前は「チャンドラヤーン2号」、「月への乗り物」という意味があります。
打ち上げられたのは、ことし7月22日でした。
これまでおよそ1か月半にわたって地球や月の周りの軌道を周回しながら月に接近し、日本時間のあさって7日の朝5時から6時頃に月の南極付近に着陸する予定です。
月の南極付近への着陸は世界で初めてとなり、氷の状態で存在するとみられている水があるかどうか、解明が進むことが期待されています。

Q)インドのねらいはどこにあるのでしょうか。
A)
インドには、経済成長を続けるなかで、宇宙開発の分野でも、大国として飛躍したいという野心があります。
中でも強く意識しているのは、隣国で長年ライバルと位置づけてきた中国です。
中国はことし、技術的に難しいとされる月の裏側への探査機の着陸を、世界で初めて実現させました。
さらに、宇宙空間での軍事的な存在感も強めています。
これに対してインドは中国に遅れをとらないよう、このあとも2022年までに国産宇宙船による有人飛行を目指し、さらにその後、独自の宇宙ステーション計画を進めることを明らかにしています。
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Q)日本も月の探査を目指していて、関心が高いですね。
A)
はい。安倍総理大臣とインドのモディ首相はきょう、ロシア極東のウラジオストクで首脳会談を行いますが、宇宙分野での協力は安全保障にも関係し、両国関係の柱のひとつとなっています。
月などの宇宙探査では、各国が資源をめぐって激しくしのぎを削っていますが、日本とインドは、すでに2020年代前半、月の南極などの無人探査を協力して目指すことで合意し、協議を進めているところです。
今回のインドの月探査はその土台となるもので、日本にとっても目が離せないものとなりそうです。
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(安間 英夫 解説委員)


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