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「急げ!2020暑さ対策」(ここに注目!)

刈屋 富士雄  解説委員

イラスト解説ここに注目です。
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東京オリンピック・パラリンピックまであと一年と迫ったこの夏、本番で使われる競技場でのテストイベントの競技大会にあわせて、注目の暑さ対策の試みも行われました。
刈屋解説委員です。

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Q スタンドで目玉焼きですか?

この夏、5つの会場のテストイベントを見てきた私の実感をイラストにしてみました。
もちろんスタンドで目玉焼きはしませんでしたが、とにかく暑かったです。
特にビーチバレーのスタンドは、まさに熱したフライパンの上にいる様でした。
日陰が全くありませんので、椅子が熱くてなかなか座れない、座っても10分といられないという感じでした。
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Q 会場では、暑さ対策の試みも行われたのですよね?

冷却剤やうちわを配ったり、ミストを吹きかけたりしていましたが、それほど規模は大きくなく入り口付近が中心でした。
本番を想定した規模でテストするというよりも、データやアンケートなどで情報を集める為の試みだったようです。
東京都や組織委員会の担当者は、今回の情報をもとに十分な暑さ対策を練っていきたいと話しています。
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Q しかし冷却剤やミストがどれだけ必要になってくるんでしょう?

そうですね、今回のテストの情報を元にシュミレーションすることも大切ですが、入場前の行列のところや観戦するスタンドに、どう日陰を確保するか、確保できないのならナイターを増やすなどの根本的な対策が必要だと思います。
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Q 施設や運用面での工夫が必要ですね?
はい。これまでは、競技場の施設は経費の削減ばかりが注目されて来ましたが、暑さ対策というところまで考えられていないという声を多く聞きます。
典型的なのはボートとカヌーが行われる海の森水上競技場。
経費が削減された分、単純にメインスタンドの屋根が半分になりました。
テストイベントの世界ジュニア選手権に来ていた外国のメディアも首を傾げながら笑っていました。

生死にもかかわるこの暑さは、安全安心を目指す東京大会の土台を揺るがしかねなません。早急に根本的な暑さ対策が必要だと思います。

(刈屋 富士雄 解説委員)


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