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「急増する日本語学校 基準厳しく」(ここに注目!)

清永 聡  解説委員

外国人留学生を受け入れる日本語学校について、出入国在留管理庁は9月1日から、運営の基準を厳しくすることを決めました。増え続ける日本語学校ですが、何が変わるのでしょう。
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Q:街にたくさんの日本語学校があります。確かにここ数年、都内の駅前などで日本語学校の看板を多く見るようになりましたね。
A:留学生を受け入れる日本語教育機関は7月現在で747校。ここ5年で1、5倍以上に急増しています。ところが入管庁によれば、中には出稼ぎ目的の外国人が留学の名目で来日し、その「受け皿」になっているところや、教育の質が伴わないところも一部であるそうです。
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Q:では、どういう点が今後、厳しくなるのでしょうか。
A:例えば、生徒全員の出席率が半年で7割を下回った場合には、新たな留学生の受け入れが停止されます。また、欠席の多い生徒のアルバイト先などを入管庁に報告させる規定も作りました。さらに、学習成果もチェックします。大学などへの進学や日常会話ができるレベルの日本語能力などを求め、これも3年続けて7割を下回れば、やはり受け入れが停止されます。ただ、専門家からは、なお不十分という指摘も上がっています。
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Q:どういう点が不十分なのでしょうか。
A:それは主に海外の送り出し側にいる、悪質なブローカーの問題です。当局は「厳格に審査している」と説明していますが、留学生の中には、来日した時点ですでに多額の借金を不当に背負わされ、学びたくても、定められた時間を超えて働かなければ、借金を返済できない人も少なくないといいます。
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Q:まじめに勉強したい留学生がきちんと学べるようにしてほしいですね。
A:政府は留学生を30万人に増やす計画を掲げ、日本語学校もこうした背景で急増してきました。まじめに教育に取り組む日本語学校もたくさんあるのですが、一方で「貧しい留学生から多額の金を不当に集める、まるで『貧困ビジネス』のようなケースも絶えない」と指摘する専門家もいます。

今回の新たな基準について、外国人留学生の問題に長年取り組んでいる弁護士の指宿昭一さんは、「入管庁は、違反者への規制の厳格化という方向でしか制度の検討をしていない。まず、留学生の人権・権利、健康で文化的な生活を行う権利を保障し、学ぶ環境を確保するという方向を取るべきだ」と指摘しています。
入管庁は悪質な業者の排除を急ぐ必要があります。その上で、夢を持って来日した留学生が日本に失望することがないよう、安心して学ぶことができる取り組みが求められます。
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(清永 聡 解説委員)

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