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「どうなる日韓対立」(ここに注目!)

出石 直  解説委員

韓国のムン・ジェイン大統領はきのう、植民地支配から解放された日を記念する式典で演説し、日本政府に対話と協力を呼びかけました。今後の日韓関係について出石 直(いでいし・ただし)解説委員です。

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Q1、きのうのムン・ジェイン大統領の演説、どう受け止めましたか?

A1、かなり抑えたトーンだったと思います。日韓関係の悪化を心配しているアメリカへの配慮もあるのでしょうか。このところ対抗姿勢から対話姿勢へとトーンを変えてきているという印象を受けます。そろそろ矛を収めようと考えているのかも知れません。

Q2、すると日韓関係はこれから修復の方向に向かっていくのでしょうか。

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A2、そう簡単ではないと思います。と言いますのは、今の日韓関係、このイラストのように、歴史問題と経済問題、安全保障の問題がごっちゃになってこじれにこじれてしまっているからです。
日本政府は「輸出管理は安全保障の問題だ」と主張。
一方の韓国政府は「これは徴用をめぐる問題への報復だ。歴史の問題だ」という立場。
認識には大きな隔たりがあります。
まずはどれが安全保障の問題なのか、歴史の問題なのか、経済の問題なのか。
このもつれた糸をひとつひとつほぐしていくことから始めなければならないと思います。

Q3、そのためには対話が必要になってきますね。

A3、まずは対話ができる静かな環境を作っていくことだと思います。言うべきことは言い、こちらの考えをきちんと先方に伝えるためにも、感情的にならず静かに対話ができる環境が不可欠だからです。

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Q4、でも韓国では依然、日本製品の不買運動が続いていますよね。

A4、かなりヒートアップしているようですが、不買運動が続けば日系企業で働いている韓国人の雇用を脅かすことになります。日韓の貿易が滞れば輸出頼りの韓国経済にも当然、大きな影響が出てくるでしょう。日本を非難するだけでは、失うものの方が大きいことに早く気づいてもらいたいと思います。来月にはソウル、その後、東京で大規模な日韓の交流行事が予定されています。感情的にならず静かな環境で建設的な話し合いができるようになることを期待したいと思います。

(出石 直 解説委員)

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