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「原発処理水貯蔵 迫る限界!?」(ここに注目!)

水野 倫之  解説委員

福島第一原発廃炉の当面の最大の課題となっている汚染水の処分はどうなるのか。東京電力は、貯蔵タンクがあと3年で満杯になるという試算を明らかにしました。水野倫之解説委員の解説。

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このイラスト、原発がタンクに囲まれて困った顔してるが、福島第一原発では様々汚染水対策取られてきたが、いまだに毎日170tずつ増え続けている。
東電は浄化処理するも、放射性のトリチウムは取り除くことができず、処理水はタンクにたまり続けすでに115万t。
東電はこのままだと、3年後の2022年夏にタンクが満杯になるという試算を、先週はじめて示した。

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タンクをもっと作ればいいのではと思うかもしれないが東電の言い分としては、今後は廃炉の廃棄物の保管場所を確保する必要もあり、タンクは137万t分が限界だという。
そうした中政府はあえて、処理水をすぐには処分せず、タンクをより大型に置き換えるなどして長期間保管できるか検討する方針を、先週打ち出した。
背景にあるのは福島の漁業者の強い反発。
政府は当初処理水を基準以下に薄めて海に放出することを軸に処分を検討してきたが、風評被害を懸念する漁業者が「絶対に認められない」と猛反発。
実際この春にはWTOの上級委員会が、韓国が続ける福島などの水産物の輸入禁止措置を事実上容認する判断も示され、政府は長期保管も検討せざるをえない状況に追い込まれている。

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ただ長期保管について東電は否定的。
より大型のタンクに置き換えれば大量漏洩のリスクがあり、福島第二原発など敷地外で保管するにも、輸送手段がないと説明。
ただ東電は廃棄物の保管場所が必要と説明するもののその面積も明らかにしておらず、本当に敷地内に余裕がないのかどうか。
また敷地がいっぱいであれば敷地を広げて保管できないのかなど、まだあいまいな点多い。
政府・東電は時間がないからと放出ありきで進めるのではなく、こうした点についてきちんとデータで示して、信頼ある検証をしていくことが求められる。

(水野 倫之 解説委員)

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