緊迫するイラン情勢をめぐって、アメリカが結成に向け各国に働きかけを強めている有志連合についてです。梶原解説委員です。
Q)このイラストは、有志連合の船に安倍総理大臣も乗るべきか、思案しているところでしょうか。
A)そうです。アメリカは、ホルムズ海峡の安全を確保するためとして、関係国に参加を求めていて、日本も要請を受けています。
ただ、各国との調整は難航していて、参加を表明したのは、いまのところイギリスだけです。情勢が緊迫化したのはアメリカがイラン核合意から一方的に離脱したことが発端ですから、フランスやドイツなどは、冷ややかな対応です。
Q)日本はどう対応するのでしょうか。
A)現在、政府内で検討が進められています。
有志連合は、同盟国アメリカからの要請ですから、きちんと受けとめる必要があります。
さらに、ことし6月、日本の海運会社が運航するタンカーが実際に攻撃を受けたという事情もあります。
その一方で、日本はイランと伝統的に友好関係を維持しています。
イランから敵対行為とみられることなく、アメリカの顔も立てなければならないという、難しい対応を迫られています。
Q)では具体的にはどんな選択肢が考えられますか。
A)1つは、「海上警備行動」と呼ばれるものです。警察権の行使として、護衛艦で日本の船舶を守ることなどができます。ただ、他国の船舶も守ることができるのかという問題があり、有志連合には合わないのではないかとの見方があります。
2つめは、「警戒・監視」です。護衛艦や哨戒機による警戒・監視活動ですから、イランへの刺激は少なくなりますが、日本の船舶が攻撃を受けた場合、防ぐことができるのかという問題があります。
3つめは、アメリカ軍の艦船への給油活動など後方支援を行うことです。ただ、今回のような事案では特別措置法が必要だという見方があり、新法の制定には時間がかかることも予想されます。
政府には、アメリカの意向や国際社会の動きを見極めて、参加の是非や態様を決める難しい判断となりそうです。
(梶原 崇幹 解説委員)
この委員の記事一覧はこちら