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「INF全廃条約失効 中ロ軍事協力強化へ」(ここに注目!)

安間 英夫  解説委員

東西冷戦時代の32年前、アメリカと当時のソビエトの間で結ばれた歴史的な核軍縮条約INF=中距離核ミサイル全廃条約が2日、効力を失います。
こうした中、中国とロシアはアメリカに対抗するため、軍事協力を強化しようとしています。安間解説委員です。

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Q)この絵を見ますと、INF条約はアメリカとロシアの足かせとなってきたんですか。
A)そうです。米ロ両首脳はそう考えてきました。
両国は、この条約で中距離核ミサイルをゼロにしなければならなかったのです。
足かせをはずそうと、トランプ大統領はことし2月、ロシアに破棄を通告。6か月の交渉期間、双方の主張は平行線をたどりました。
トランプ大統領が破棄を決めた背景には中国の存在があります。
米ロ両国が条約に縛られている間、中国は着々と数を増やし、今では中距離ミサイルでは世界最大の保有国です。
トランプ大統領は中国が脅威であり、これまでの状況が不公平だと考えたのです。足かせはきょう2日、外れることになります。

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Q)アメリカに対し、中国やロシアはどう対応しようとしているのでしょうか?
A)このタイミングで軍事協力を強化しようとしています。
先週、ロシア政府は、中国と軍事協力の文書締結に向けた交渉を進めると発表。
中国も4年ぶりの国防白書でアメリカを名指しで批判し、ロシアと軍事協力を強化していく方針を表明しました。
さらにとても気になる動きがありました。
先週、ロシア軍機が島根県の竹島付近の日本の領空を侵犯。
その周辺でロシアと中国の戦略爆撃機4機が共同で警戒飛行し、日本の防空識別圏に入りました。
両国のこうした一連の動きは、アメリカや日本などをけん制し、反応をさぐるねらいがあったとみられます。

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Q)これからどうなっていきそうですか?
A)中国が中距離ミサイルで圧倒的に優位な状況にあるなかで、このままですと、アメリカやロシアがミサイルの配備を加速し、日本を取り巻く北東アジアの軍拡競争につながるおそれがあります。
アメリカとロシアに、中国も含めた新たな条約を締結することがいっそう求められていきそうです。

(安間 英夫 解説委員)

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