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「『参院改革』の旗手になれるか?」(ここに注目!)

太田 真嗣  解説委員

参議院選挙を受けて、臨時国会が、きょう召集され、新しい参議院議長に自民党の山東昭子元副議長が選出される見通しです。太田真嗣解説委員です。

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Q、見たことがあるような絵ですが、この旗を持って先頭にいるのが、新議長になる山東さんですね?

A、新たなスタートなので、期待も込めてフランスの名画にたとえてみました。
山東さんは、今回、参院史上初の8回目の当選を果たした自民党のベテラン議員。科学技術庁長官などを歴任し、平成19年から3年間、参議院の副議長も務めています。参議院では、扇千景さん以来、2人目の女性議長となりますが、ただ、この参院改革の道、決して平坦ではありません。

Q、どんな課題があるのですか?

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A、大きなものを、2つ上げたいと思います。ひとつは、いわゆる1票の格差是正を含む選挙制度改革。4年前の法律の改正では、複数の県をひとつの選挙区とする、『合区』の導入と合わせて、法律の附則に、「選挙制度の抜本的な見直しについて必ず結論を得る」とされました。しかし、その後、各党の思惑が交錯し、未だ結論は全く見えません。このため、今回の選挙は、議員定数を増やして格差を縮小する形となりましたが、各地で、選挙の無効を訴える裁判も起こされており、これ以上、先送りは許されません。

Q、もうひとつは?

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A、参議院としての独自性をどう発揮していくかです。先の国会では、「委員会を開く、開かない」で与野党が対立を繰り返すなど、およそ、『熟慮の府』とは程遠い姿も目につきました。「国会は、きちんと行政をチェックしているのか」という批判は、総理大臣の解散権に縛られず、独自の立場である筈の参議院こそ、重く受け止めなければならない。『参議院だからできる仕事』をしないのなら、『不要論』が出てくるのは避けられません。

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Q、そうですねぇ。

A、ネイルアートが趣味で、きょうも、爪を綺麗にして国会に臨むという山東さん。注目は、その手で、各党の手綱をしっかり掴み、改革実現に導けるかどうかです。
投票率の低迷など、国民の政治離れが指摘される、いまだからこそ、新議長の手腕に、期待と重い責任がかかっています。

(太田 真嗣 解説委員)


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