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「動きたい?動けない? 悩める日銀」(ここに注目!)

今井 純子  解説委員

世界経済の先行きに不安が広がる中、世界の主な中央銀行が動こうとしています。日銀はどうするのか。今井解説委員。

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Q)日銀の黒田総裁。この右手は、何か探しているのでしょうか?
A)はい。次の矢、つまり、景気を支えるため、次に打つ手を探しているのです。
というのも、米中貿易摩擦の影響などで、世界経済の先行きに不安の影が広がっているのを受けて、ヨーロッパ中央銀行が、きのう、今後、金融緩和に踏み切ることを示唆しました。また、アメリカの中央銀行にあたるFRBは、来週、10年半ぶりの利下げに踏み切るという観測が強まっています。ここで日本だけが動かないとなると、一気に円高、株安になる懸念もあります。このため、日銀が、FRBの直前、来週月曜日から開かれる金融政策決定会合でどう動くかが、注目されているのです。

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Q)でも、中身があまり残っていないようですが、打つ手はあるのですか?
A)それが、ほとんどないのです。日銀は、2%の物価上昇を目ざして、この6年余り、次々、前例のない緩和策を打ち出してきました。でも、当初、2年で達成するとしてきた目標にいまだに届かず、緩和が長引いていることで、預金の金利はほぼありませんし、銀行の利益が減ったり、手数料が上がったりといった副作用が、じわじわ広がっています。ですから、これ以上、打てる手はほとんどないというのが実情です。

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Q)どうしたらいいのでしょうか?
A)専門家の間からは、日銀が、「来年春までは、今の低金利を維持する」としている、この先の方針について、さらに長期化する。あるいは、「必要なら、本当に追加緩和をする」とこれまで以上に強い姿勢を示す。そういう可能性はあるという指摘が出ています。ただ、効果は限られますし、それでも、今、つかってしまうと、この先、本当に景気が悪くなった時に何もできない、ということになりかねません。今回は、日銀が先に開かれるだけに、FRBがどこまで利下げに踏み込むのか、その手を読みながらの難しい判断を迫られることになります。

(今井 純子 解説委員)

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