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「米ハガティ駐日大使の後任は?」(ここに注目!)

髙橋 祐介  解説委員

アメリカのハガティ駐日大使は今月中に辞任し、来年の上院議員選挙に立候補する見通しです。髙橋解説委員です。

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Q1)
けさのイラスト、どうしてトランプ大統領が“印籠”をかざしている?
A1)
「この紋所が眼に入らぬか!」そんな“トランプ印”の公認マークが、いまの与党・共和党に絶大な影響力を持っているからです。きのう(16日)ハガティ駐日大使は今月中に辞任すると正式に発表しました。これに先立ち、トランプ大統領は先週末「ハガティ大使が南部テネシー州から上院選に立候補する」とツイッターに書き込み、全面的に支持する意向を明らかにしています。異例の“ツイッター辞令”を先に出すことで、大統領の力を党内に見せつけた形です。

Q2)
どうして、そんな異例の発表になった?
A2)
ハガティ氏が生まれ育ったテネシー州は、共和党が地盤とする“保守の牙城”です。今期限りで引退する共和党の現職の後継に先週、前の州知事らが立候補しないことになったため、ハガティ氏に白羽の矢が立ちました。トランプ大統領は、自らと関係が近く、地元政界に豊富な人脈を持つハガティ氏に、再選に向けた支持固めを期待しているのでしょう。上院議員に当選すれば、日本との関係も、引き続き橋渡しが可能です。ただ問題は、誰が後任の駐日大使に指名されるかです。

Q3)
次の駐日大使にはどういう人物が選ばれそう?
A3)
近年のアメリカの駐日大使は、かつてのような大物の政治家よりも、大統領といつでも電話一本で話が出来るような“関係の近さ”が重視される傾向にあります。ただ、大使のポストは議会上院から承認が必要になるので、大統領の“印籠”は使い方が難しいでしょう。
具体的な人選はこれからのようですが、たとえば、長女のイヴァンカ補佐官や娘婿のクシュナー上級顧問のような大統領の身内や、強硬派のボルトン補佐官のように党派色が強すぎると、いくら大統領との関係が近くても、承認は難航が避けられません。次の駐日大使はすんなり決まるのか?当面は空席のまま、臨時代理大使による職務代行が続くことになりそうです。

(髙橋 祐介 解説委員)


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