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「トルコが『ロシア製兵器』導入の波紋」(ここに注目!)

津屋 尚  解説委員

NATO・北大西洋条約機構の加盟国トルコがロシアから防空ミサイルシステムを購入したことに波紋が広がっています。津屋尚解説委員です。

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Q:2人とも厳しそうな表情ですね。
A:本来、同盟関係にあるアメリカとトルコが対立し、その後ろでロシアがほくそ笑む。
この問題はこんな構図です。トルコが購入したのは、ロシア最新鋭の防空ミサイルシステム「S400」。欧米の軍事同盟NATOの加盟国が、対立するロシアから兵器を導入するのは前代未聞のこと。アメリカ政府はこれにストップをかけようと、トルコが配備することにしているアメリカ製のステルス戦闘機F35の引き渡しを凍結、経済制裁もするぞと警告してきましたが、トルコは耳をかさず、先週末からミサイルシステムの搬入が始まりました。

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Q:トルコはなぜわざわざロシアから兵器を買ったのですか?
A:「アメリカ製を買おうとしたらアメリカ議会が売ってくれなかったから」というのがトルコ側の説明ですが、トルコはシリア情勢への対応などアメリカと様々な対立点がありますから、ロシアへの接近をみせつけて、アメリカの言いなりにはなりませんよと揺さぶりをかけているのだと思います。

Q:ロシア製兵器が導入されるとNATO側にどんな不都合があるのですか?
A:アメリカ製のステルス戦闘機とそれを撃ち落とすロシア製の防空ミサイルは本来なら敵同士。ところがトルコの計画通りに進めば、2つの兵器が同じ軍隊内で共存する特異な状況が生じます。メインテナンスのためロシアの技術者も入ってきますし、2つの兵器を同時に稼働させることになれば、ステルス機の飛行データなど機密情報がロシアに漏れるのではとアメリカは懸念しているのです。

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Q:アメリカはトルコへの制裁に動くのですか?
A:最終的にはトランプ大統領次第です。先月G20サミットがあった大阪ではエルドアン大統領と良好な関係をアピールしたばかりです。トルコは、いま情勢が緊迫しているイランにも影響力のある国ですから、同盟の亀裂が広がるのかどうか、トランプ大統領の判断が注目されるところです。

(津屋 尚 解説委員)

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