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「どれだけ上がる? 最低賃金」(ここに注目!)

竹田 忠  解説委員

ここに注目です。引き上げのペースは速まるんでしょうか?
最低賃金を今年いくら引き上げるかを話し合う審議会が明日(4日)から始まります。
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Q①
竹田さん、この絵は、最低賃金の引き上げをめぐっていろんな声があがっているということですか?

そうなんです。最低賃金の引き上げが、これほど大きな議論になっているのも珍しいと思います。なぜ、そうなっているかというと、そもそも最低賃金というのは、文字通り、最低限の賃金のことで、企業はそれ以上の賃金を払わないと、法律違反になります。
額は都道府県ごとに時給ベースで決まっていて、全国平均では、現在、874円。政府はこれを1000円に上げることを目標に3年連続で、3%程度、引き上げてきました。
しかし、これでは不十分だという声が政府の別の会議の議論や、いろんな政党から上がっていまして、たとえば3%に対しては、イヤ5%アップにすべきだ、とか目標1000円についても、もっと高く、1300円や、1500円にすべきだという声が。
さらには、最低賃金を、都道府県別ではなく全国一律にして差をなくすべきだ、という主張も出ていまして、まさに、最低賃金引き上げの大合唱が起きているわけです。
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Q②なぜ、こんなに最低賃金に焦点があたっているんですか?

一言で言って、いまだに低すぎるためです。たとえば時給874円で働くとすると、月160時間、フルタイムで働いて、月収およそ14万円。そこから税金や保険料もひかれるわけです。
これではやっていけない。もっと最低賃金を上げて、所得を底上げして、働く人の暮らしを守らないといけない。
それが景気にもプラスになるはず、という話しなんです。

Q③この最低賃金、これから、どうやって決まるんですか?

明日から、中央最低賃金審議会という、国の専門の審議会が開かれて全国的にどれだけ上げるのか、目安となる額をひと月ほどかけて決めます。それをもとに、各都道府県が、個別に引き上げ額を決めて、今年10月から適用、というのが大きな流れです。

Q④どれぐらい上がりそうなんですか?

鍵になるのは、先日決定された“骨太の方針”です。
この中で、最低賃金について二つのことが求められている。一つは、目標1000円を「より早期に」達成するよう目指す。つまり、これまでの3%アップを、より高めにするよう求めている。
しかし、中小企業などを中心に、大幅な引き上げは経営への打撃が大きいといしてすでに反対の声があがっていて、厳しい議論も予想されます。
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Q⑤もう一つは?

もう一つは「地域間格差に配慮する」ということも求められている。
どういうことかというと、最低賃金は、都道府県で大きな開きがあって、最も高い東京は985円。
一方、最も低い鹿児島は、761円。時給で200円以上も開きがある。
実は、最低賃金の今の仕組みでは、もともと最初から各都道府県を4つのランクに分けて、引き上げの目安の額にも差をつけている。
これが実際の最低賃金の地域差にもつながっている。今年は、この違いをどう縮小していくか、この決め方もポイントです。
いずれにしても今年の最低賃金の審議の行方、大きな注目を集めることになると思います。

(竹田 忠 解説委員)

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