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「チャイナプラスワン 中国企業の動きが加速」(ここに注目!)

櫻井 玲子  解説委員

週末、大阪のG20サミットにあわせて開かれた米中首脳会談では、両国が貿易交渉の再開でひとまず合意する結果となりました。しかし、ビジネス界では、米中の対立は長期化するとみて企業がリスクを分散するためのいわゆる「チャイナプラスワン」という動きが広がり始めています。櫻井解説委員です。

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Q1 「チャイナプラスワン」とは、そもそも何を指すのですか?
A1 企業が生産拠点を中国に集中して置いておくことのリスクを避けるため、中国以外の国にも、工場を設ける動きを指します。
かつては日本のメーカーが、政治的なリスクや、賃金の上昇を理由にこうした動きをみせていたのですが、ここにきて、中国企業が、その動きの中心となっているんです。

Q2 中国企業自身がそういう動きをするとは、どういうことですか?
A2 米中両国の摩擦を背景に、中国企業が、東南アジアに新たな生産拠点を設けようという動きが増々、活発になっているのです。中国からアメリカへの輸出は、トランプ大統領が関税を引き上げた影響で減っていまして、こうした制裁を回避するのが主な狙いだとみられています。米中が一時的に手打ちをしたとしても、その対立は根深く、今後も長期化する。中国企業も、そう判断しているのでは?とみられています。

Q3 なるほど。具体的にはどんな動きが出ているんですか?
A3 はい。テレビやパソコン、ワイヤレスイヤホンを作るメーカーなどが進出や移転を考えているようです。

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中国企業によるタイへの直接投資額はことしはじめの3か月間で、去年の同じ時期の2倍に。地理的にも中国に近いベトナムへの新規投資の認可額はことし1月から5月下旬までの間で前年比5倍以上となっています。

Q4 中国企業までもがほかの国へ動くとなると、今後どういう影響が考えられるのでしょうか?

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A4 専門家は今後、企業の国籍を問わず、中国向けのものは中国国内で、それ以外のマーケット向けは中国以外で作る形に、二分化され、「世界の工場」といわれてきた中国を中心としたモノづくりの流れが大きく変わるかもしれないと指摘しています。
国際社会の関心を集めた週末の米中首脳会談でしたが、企業は、その先をも見越した行動を始めているようです。

(櫻井 玲子 解説委員)

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