再生可能エネルギーで発電した電気を大手電力会社がすべて買い取る制度について、経済産業省は新規の大規模太陽光については買い取りをやめる方針で、近く専門家会合で検討を始める。水野倫之解説委員の解説。
この買い取り制度は、震災・原発事故で再エネの重要性が再認識されて国が始めたもので、太陽光や風力・地熱などの電気は全て、事業者の採算がとれる高い価格で大手電力が買い取ってきた。
この優遇策の結果、再エネは震災前9%だったのが16%まで増え、制度は大きな役割を果たした。
でもいいことばかりではない。
買い取り費用は電気料金に上乗せされてるので、再エネが増えるほど一般家庭の負担も増え、現在標準家庭で年間9200円の負担。
今後さらに膨らむ可能性があることから経産省は、一般家庭の負担を減らそうと、買い取り額が最も多い大規模太陽光のうち、まずは今後設置される新規分についてはもう買い取りをやめようと検討を始めた。
今後買い取られなくなる電気は事業者が自分で売り先を探すか、全国の電気が売買される市場で売るなどしなければ。
ただ売り先をうまく見つけられるのか、また市場価格が急落すれば採算が取れなくなるのではないかといった不安の声が事業者から上がる。
政府は再エネを主力電源にする方針で2030年には24%にする目標を掲げるが、買取り終了で事業者のやる気がそがれると太陽光が増えなくなって目標が達成できないことにもなりかねない。
経産省は市場価格が急落した場合には、国が補填する新たな制度も検討する方針だが、それも最終的には消費者の負担。
新制度が、再エネ拡大と消費者の負担軽減が両立できるようなものとなるよう、慎重な検討が必要。
(水野 倫之 解説委員)
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