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「トランプ再選フロリダで先手必勝!?」(ここに注目!)

髙橋 祐介  解説委員

アメリカのトランプ大統領は、今週18日、激戦州の南部フロリダで、みずからの再選キャンペーンを本格的にスタートします。髙橋解説委員です。

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Q1)
けさのイラストは、トランプ大統領がどうしてブランコを引っ張っている?
A1)
まるでブランコのように共和党と民主党を行ったり来たりの“スウィング・ステート”フロリダ州。選挙のたびに勝敗が僅差で分かれ、共和党カラーの赤色でも民主党カラーの青色でもない、いわば紫色のフロリダを引き寄せて真っ赤に塗ることが、再選への鍵を握るからです。その舞台は、まず州の真ん中当たり、あの大型テーマパークもあるリゾート都市オーランド。トランプ大統領は、これまで民主党が地盤にしてきたオーランドを敢えて会場に選び、ペンス副大統領とともに再選に挑む決意を明らかにします。

Q2)
でも、なぜ今あらためて再選に向けた決意を表明する?
A2)
確かに選挙は来年11月ですし、就任したその日から再選への準備を始めたトランプ大統領ですから「何をいまさら決意表明か」という声もないわけではありません。でも、相手陣営の民主党は来週マイアミでテレビ討論会を開始します。そこで「先手必勝」機先を制してスポットライトならぬフロリダに燦々と輝く太陽の光をいわば独り占めにして、再選への道筋を確かなものにするねらいがあるのでしょう。

Q3)
では、トランプ大統領はフロリダを弾みに再選を果たすことが出来るでしょうか?
A3)
まだ再選の行方はわかりません。しかしフロリダで仮に劣勢におかれますと、戦いはかなり厳しくなります。アメリカ大統領選挙は人口に応じて各州に割振られた“選挙人”の数を競う仕組みです。フロリダ州は年々人口が増加し“選挙人”が全米3番目に多いからです。現に前回の選挙でも、トランプ候補はフロリダを競り勝ち共和党の赤色にしたことが勝因のひとつになりました。ただ、フロリダばかりに精力を傾けすぎると、ほかの激戦州で不覚を取る“危険な賭け”にもなりかねません。ブランコを無理やりスウィングさせるのと同様に、やはりリスクを伴うことになるでしょう。

(髙橋 祐介 解説委員)


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