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「離脱の先導役は誰に?」(ここに注目!)

二村 伸  解説委員

イギリスのメイ首相が7日、与党・保守党の党首を辞任し、後任の首相争いが本格化します。

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Q.メイ首相が握っているのはカギですね。

ナンバー10と呼ばれるダウニング街10番地の首相官邸、そのカギを受け取ろうと10人以上が名乗りを上げています。現職と前の外相をはじめ、閣僚や党の要職にある人たちです。EUからの合意なき離脱もやむなしとする候補も何人かいます。

Q.与党の党首がそのまま首相になるのですね。

そうです。次期首相となる保守党の新しい党首選びは、10日に立候補が締め切られ、13日に議員による最初の投票が行われます。
その後も投票で票の少ない候補がふるい落とされて最終的に2人の候補に絞られます。そして7月第4週にイギリス全土の保守党党員10数万人による郵便投票によって党首が決まります。

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Q.誰が有力なのですか。

最有力候補がボリス・ジョンソン前外相です。3年前の国民投票で、離脱派を率いて勝利をおさめ、合意なき離脱もやむなしとの立場をとる強硬派です。国民の人気は高いのですが、国民投票の運動中に虚偽の情報を拡散したとして告発されました。イギリスがEUに毎週3億5000万ポンドもの金を払っているという発言が全くの虚偽だったのです。

Q.メイ首相は国をまとめることができませんでしたが、次の首相はどうなのでしょうか?

メイ首相は何事にも動じない姿勢から「氷の女王」と呼ばれましたが、その首相ですら白旗を上げただけに、後任に誰がなっても国をまとめるのは容易ではありません。

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10月末に合意なき離脱か、それともあくまでも離脱協定案を可決して円満な離脱をめざすか、ほとんどの候補者たちの主張はこのどちらかですが、総選挙や国民投票のやり直しとなる可能性もまだゼロではありません。先の見えない霧のロンドン、10番地のかぎを手にするのは誰か、熱い戦いが始まろうとしています。

(二村 伸 解説委員)


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