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「G20 企業の課税逃れに新対策」(ここに注目!)

櫻井 玲子  解説委員

今週末福岡で開かれる、G20財務相・中央銀行総裁会議で、国境を越えてビジネスを展開する企業の「課税逃れ」にどう対処していくかが議論されます。櫻井解説委員です。
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Q1 企業の親会社がある国とは別に、こちらにヤシの木が書かれた島、のイラストがありますね。
A1 はい、税金をゼロ、または極めて低くしている国、いわゆる「タックスヘイブン」をイメージした絵を用意してみました。今、巨大IT企業などの多国籍企業が、多額の法人税を払うのを避けるため、こうしたタックスヘイブンに子会社を作り、利益を移す動きが、改めて、問題となっています。このような課税逃れや節税対策は、昔からありましたが、最近はインターネット上のビジネスが増えるなど、デジタル経済の発展で、おカネの流れがますます、見えにくくなっているからです。そこでG20会合ではこうした問題が話し合われますが、これまでの発想とは違う提案が出され、注目されています。
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Q2 どんな案ですか?
A2 法人税率の高い国にある親会社が、税率が低い国の子会社や孫会社に利益を移している場合、税率の高い国が低い国の分まで、一定程度、税金をとることができるようにする案です。この案の新しいところは、世界共通の「最低税率」というものを決め、それよりも、税率が低い国に企業が利益を移している場合は、その分の税金をとることができる制度を検討するという点です。これまでも、国によっては、税務当局が、タックスヘイブンを使った企業の課税逃れを調査で証明できれば、その分まで課税できる仕組み、はありました。これに対し、今回は、法人税率のいわば「最低水準」を国際的に、一律に、決めてしまいましょう、という案なんです。
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Q3 議論はまとまるのでしょうか?
A3 G20各国は、大企業の課税逃れに対する人々の反発が高まっていることも背景に、来年中に新たなルールを作るよう目指すことについては、承認をする見通しです。
ただ、国が企業にいくら税金をかけるか?というのは、本来は各国の、主権の根幹に関わるような話です。この先、具体的な検討がすすめば、企業を自分の国に惹きつけるため税率を低くしてきた国からは、反発の声があがることも予想されます。今後の交渉の行方に、注目したいと思います。
(櫻井 玲子 解説委員)

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