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「どうなる イスラエル新政権」(ここに注目!)

出川 展恒  解説委員

イスラエルでは、先月の議会選挙で勝利宣言を行ったネタニヤフ首相が、最終期限とされた29日までに、新たな連立政権を発足させることができず、再び選挙をやり直すことになりました。出川解説委員です。

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Q1:
ネタニヤフ首相、連立政権の船の上で、腕組みしていますね。

A1:
はい。ネタニヤフ首相、大きな誤算がありました。それは、連立のパートナーと考えていた政党どうしの対立です。

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ネタニヤフ氏の与党「リクード」は、議会の定数120のうち35議席しか獲得できませんでしたが、極右政党や、ユダヤ教の宗教政党など、ほかの5つの政党との連立により、過半数を確保して、新政権を発足させることができると見られていました。ところが、極右政党を率いる、前の国防相のリーベルマン氏が、ユダヤ教の教えを厳格に守る人々に認められてきた兵役の免除を廃止すべきだと主張。ユダヤ教政党と鋭く対立して、連立協議が不調に終わったのです。

Q2:
それで、総選挙をやり直すことになったのですね。

A2:
はい。先月選ばれたばかりの議会が、つい先ほど、解散法案を可決しました。このため、9月に改めて総選挙を行い、首相選びも、一からやり直すことになりました。新政権ができるまで、ネタニヤフ首相が暫定的に政権を継続させますが、内政の混乱が、中東情勢に影響を与えることは、避けられません。

Q3:
どんな影響が考えられますか。

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A3:
1つは、パレスチナ問題です。アメリカのトランプ大統領は、来月にも、パレスチナ問題の独自の解決案を発表すると予告していました。それは、盟友ネタニヤフ首相の新たな政権ができることが前提だったため、発表の時期や内容の見直しを迫られる可能性があります。また、ネタニヤフ首相が、極右政党の支持をつなぎとめるため、ユダヤ人入植地をイスラエルに併合することも考えられます。

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もう1つは、敵対するイランの問題です。ネタニヤフ首相は、国境を接するシリアやレバノンで活動するイランの影響下にある軍事組織を、極めて重大な脅威と見ています。新たな選挙を前に、求心力の回復を図ろうと、軍事攻撃に打って出ることも考えられます。
イスラエルの政治は、中東情勢を大きく左右するだけに、目を離すことができません。

(出川 展恒 解説委員)

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