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「衆参同日選?ヤマ場は」(ここに注目!)

曽我 英弘  解説委員

アメリカのトランプ大統領はきのう日本を離れ、国政は終盤国会、とりわけ夏の参議院選挙にあわせた「衆参同日選挙」があるのかどうかに与野党の関心が集まっている。
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Q)安倍総理大臣、解散の矢に手がかかるのか、憶測がここまで燻っているのはなぜか。
A)安倍総理大臣の自民党総裁としての任期は2年余り残されてはいるが、衆議院の解散に踏み切るタイミングは限られているという見方があるため。
というのも今年10月に消費増税、来年の東京オリンピック・パラリンピックが終われば、景気が後退する予測もある。このため解散の矢があたる的は、それほど大きくないというわけだ。
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Q)衆参同日選挙があるかどうかを見極めるポイントは。
A)ヤマ場は3つあると思う。まずは6月19日で与野党が調整中の党首討論だ。
討論の流れ次第では、解散のきっかけになる可能性も否定できない。
事実民主党政権時代に、当時の野田総理大臣が安倍自民党総裁を相手に激論を交わし、2日後解散に踏み切った例もある。
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次は、6月26日までの国会の会期が延長になるかどうかだ。
というのも、その2日後の6月28・29日にG20大阪サミット。7月1日には消費増税を延期する判断材料と見る向きもある日銀短観の発表がある。重要な外交日程への影響を避けるとともに、日銀短観次第では消費増税延期し、国民に信を問う可能性を指摘する声が与党内にあるからだ。
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Q)もうひとつの矢は。
A)実は野党が手にしている。それが内閣不信任決議案だ。
提出が国会最終盤の恒例となっているが、菅官房長官が「(解散の大義に)当然なる」とけん制するなど、今回は解散の引き金になりかねない。ただでさえ、選挙準備が遅れる野党が果たして提出できるかどうか。チキンレースのような状態になりつつある。
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Q)肝心の安倍総理大臣の考えは。
A)年頭会見で「頭の片隅にもない」と否定して見せたが「常に真ん中にある」と見る向きもある。3年前にも「頭の中をよぎった」と明かしており、終盤国会は緊張感が高まりそうだ。

(曽我 英弘 解説委員)


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