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「欧州議会選挙 揺れるEUの行方は」(ここに注目!)

二村 伸  解説委員

5年に1度のヨーロッパ議会選挙の投票が、23日から26日まで加盟28か国で行われます。
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Q.ヨーロッパ議会はEU各国の議会とはどこが違うのでしょうか?

ヨーロッパ議会はEUの政策執行機関であるヨーロッパ委員会をチェックするEUの立法府の役割を担っています。751の議席が人口規模などに応じて各国に振り分けられ、最も多いドイツが96議席、キプロスやルクセンブルクなどが6議席となっており、それぞれの国ごとに投票が行われます。
各国政党の集まりである会派は8つ、ドイツの与党キリスト教民主同盟など中道右派の政党のグループ「ヨーロッパ人民党」と、フランス社会党やドイツ社会民主党などの中道左派のグループ「社会民主進歩連盟」の2大会派が主流ですが、今回は双方合わせても過半数を大きく割り込むのではないかと見られています。
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Q.主要政党の支持が減っているのですか?

各国の政権を握ってきた主要政党に代わって反EUや反移民・難民の政党が支持を広げています。イギリスではEU離脱を掲げる新政党・離脱党がトップに躍り出る勢いです。フランスでは極右の国民連合がマクロン大統領の与党とトップ争いをしており、ドイツでも反移民を掲げる「ドイツのための選択肢」が躍進しそうです。イタリアの内相を務める同盟のサルビーニ党首は、「自由なヨーロッパかイスラム国家になるかの選択だ」と危機感を煽っています。極右政党は全体の3割を確保するとの見方もあり、各国の極右政党が結集すれば議会での影響力を強めそうです。
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Q.なぜEUに批判的な政党が支持を広げているのですか?

中東やアフリカから多数の移民が流入したことへの警戒感が強まり、EUから主権を取り戻し、国境の管理を厳しくすべきだといった主張が受け入れられやすいためと見られます。

Q.反EU政党が議席を増やすとEUはどうなるのですか?

ヨーロッパの統合と深化にブレーキがかかりそうです。アメリカだけでなくヨーロッパでも自国第一主義が広がりを見せているだけに、自由と民主主義などの価値観を共有してきた日本としてもEU市民、4憶人の選択に目が離せません。
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(二村 伸 解説委員)

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