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「『熱く』なるか? 地熱発電」(ここに注目!)

水野 倫之  解説委員

再生可能エネルギーとして期待されながらもなかなか増えない地熱発電だが、国内では23年ぶりとなる大規模な地熱発電所が秋田県に完成し、週開けに運転を開始する。
水野倫之解説委員の解説。

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このイラストには発電所と温泉が描いてあるが地熱発電も温泉もそのエネルギー源は同じで、地下のマグマで温められたお湯。
今回運転を始める「山葵沢地熱発電所」も秋田県湯沢市の温泉近くにあって、地下のお湯から蒸気を取り出して発電、蒸気をまた地下に戻す仕組みで、天気任せの太陽光と違って24時間安定して発電できる優れものの再エネ。山葵沢は蒸気が豊富で、出力4万kWと8万世帯分の電気をまかなえる。
これだけ大規模な地熱発電所は実に23年ぶり。

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20年以上も新設がなかったのは地熱源を堀り当てるのにコストがかさむようになった上に、多くは国立公園にあって景観を守るために開発が禁止されたから。
90年代に50万kWまで増えて以降、止まったが原発事故を受けて重要性が再認識され、政府は2030年に150万Kwまで増やす目標を決定。
電気を高く買い取る制度を始め、公園内の開発も一部認めたことで小規模な地熱は増えた。しかし大規模なものはもう一つ温泉問題があって増えなかった。
発電所が蒸気を取り出すとお湯が減るんじゃないかと温泉旅館の経営者から反対の声があがり開発が頓挫するケースが相次いだ。

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山葵沢でも事業者は、温泉とは別の場所から蒸気をとるため影響はないと説明したが心配の声も出たため、地熱での町おこしを掲げる湯沢市が、事業者と旅館の間に入った。
そして事業者が毎月旅館の源泉を調査することや、損害が出た場合は賠償する協定を締結することで温泉旅館側も納得し、運転にこぎ着けたわけ。
国もこうした取り組みをもっと支援して地熱発電の普及を進めてもらいたい。

(水野 倫之 解説委員)

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