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「ゾンビ企業の増加に要注意!」(ここに注目!)

櫻井 玲子  解説委員

今、ゾンビ企業といわれる、問題のある企業が、世界各国で増え、懸念が広がっています。櫻井解説委員です。

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Q1 櫻井さん、こちらの苦しそうな表情をみせているのが「ゾンビ企業」ですか?
A1 はい。長い間利益が出せず、本来だったらとっくに経営破綻しているはずなのに、銀行による融資などで生きのびている会社のことを指します。国際決済銀行の調べでは、日米欧など14か国の、金融を除く、上場企業の12パーセント、およそ8社に1社がゾンビ企業です。これはここ30年でもっとも悪い数字ですが、さらに今後も増えるのではと、専門家たちの間で懸念が広がっています。

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Q2 なぜ、増えそうなんですか?
A2 各国の金融政策の影響で世界的な「カネ余り」の状態が当面続くと予想されているからです。日銀は少なくとも来年春までは今の大規模な金融緩和策を続ける予定ですし、アメリカ・ヨーロッパ・中国の中央銀行も足元の景気減速を食い止めるため金融の引き締めを止めています。資金がふんだんに出回っているため、おカネを貸し続けてはいけない企業にも資金を出してしまう。これが経営再建の見込みがない企業を延命させることになるのではと心配されています。

Q3 具体的にはどんな影響が心配されるのでしょう?
A3 利益を出せない体質の会社にさらにおカネを貸せば、会社はもとより、銀行も、共倒れになるリスクがあります。また信用力が低い企業が多額の借金をしていると、金利が上昇に転じたときに、おカネが返せず次々と倒産が起きて景気を一気に冷え込ませる危険があります。

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Q4 影響が経済全体に広がるおそれがあるんですね。
A4 はい、ですので、問題のある企業に対しては融資を続ける際に、抜本的な経営体質の改善を迫っていくことが必要です。アメリカの中央銀行にあたるFRB・連邦準備制度理事会は先週発表した報告書で、リスクの高い企業への融資額が去年からことし春にかけて急増していることに、警鐘を鳴らしています。また日本でも、経営が苦しい地方銀行が融資基準をじわじわと緩めているのではとも指摘されています。個人や企業がおカネを借りやすいと、新しいことに挑戦しやすくなる良い面があります。が、その副作用としてゾンビ企業への無節操な貸し出しが増えてはいないか、一層細やかな目配りが必要になりそうです。

(櫻井 玲子 解説委員)

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