「選挙結果から何が見えたか?」(ここに注目!)
2019年04月22日 (月)
太田 真嗣 解説委員
夏の参議院選挙の前哨戦とされた、衆議院の2つの補欠選挙と統一地方選挙が終わりました。今回の選挙結果から何が見えたのでしょうか。
Q1)今回の結果、どう見ますか?
A1)『夏の参議院選挙の前哨戦』という位置でしたが、与野党ともに、態勢の立て直し、あるいは、戦略の見直しが迫られる結果と言えます。自民・公明の与党は、各地の選挙では底堅さも見せましたが、先の大阪ダブル選挙に続き、きのう(21日)の大阪と沖縄の、2つの補欠選挙でも敗れました。特に、大阪12区の補欠選挙は、ダブル選挙の余波があったにせよ、これまで自民党が持っていた議席、そして、野党勢力が分裂した中での敗北ですから、ダメージは少なくありません。
Q2)一方、野党側は、どうでしょう?
A2)2つの補選のうち、沖縄は、これまでの実績もあって、野党共闘で議席を守りましたが、それができなかった大阪では、議席には届きませんでした。
結党後、初めての統一選となった、立憲民主党、国民民主党は、地方の足場固めが課題でしたが、例えば、今回、行われた41の道府県議会議員選挙の結果をみても、「与党に危機感を与えるような勢力拡大」とはならず、むしろ野党間での議席の奪い合いに終わった感は否めません。
Q3)そうした中、きのうの大阪の補選も含め、維新の会の勢いが目立ちましたね。
A3)そうですね。維新の会の馬場幹事長は、「改革を全国に広げるため、一歩ずつ前進している」としています。ただ、今回の道府県議選で獲得した、69議席のうちの9割・60議席は大阪と兵庫で取った議席で、その勢いを他の地域にどう広げていくかが課題です。
Q4)参院選に向けて、与野党ともに「態勢の建て直しや戦略の見直しが迫られる」ということですが、それぞれ、ポイントはどこになりますか?
A4)国政では、依然、「自民党一強」と言われる政治状況が続いていますが、今回の結果は、それが『磐石』ではなく、他に受け皿があれば一気に崩れてしまう脆さも示しました。また、今回は保守分裂の選挙も目立ちましたから、与党としては、まず、夏の参院選までに結束を取り戻せるかどうかです。対する野党側は、政権への批判の受け皿となり得るような共闘体制をどう築いていくか。
また、今回行われた41の道府県議選のうち、8割にあたる33の道府県では投票率が過去最低となっており、政治に緊張感を取り戻し、有権者の関心を政治に向けることができるかも問われています。
(太田 真嗣 解説委員)
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