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「スーダン 政変の背景と今後」(ここに注目!)

出川 展恒  解説委員

アフリカのスーダンで、30年にわたる独裁体制を築いたバシール大統領が、先週、失脚しましたが、事態はその後も混沌としています。出川解説委員です。

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Q1:
きょうのイラスト、バシール大統領が弾き飛ばされていますね。

A1:
はい。スーダンのバシール大統領が、政変で失脚したところです。この政変、2つの要素があります。「民衆革命」と「軍によるクーデター」です。

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バシール大統領は、反対勢力を徹底的に力で抑え込み、30年に及ぶ独裁体制を築きました。西部のダルフール地方で起きた紛争では30万人が犠牲になり、大量虐殺の容疑で、国際刑事裁判所から逮捕状が出ています。
8年前、「南スーダン」が分離独立すると、スーダン政府は、石油収入の4分の3を失い、財政難に陥りました。去年12月、補助金のカットで、パンの値段が3倍に跳ね上がって、人々の怒りが爆発し、バシール大統領の辞任を求める大規模な抗議デモが3か月以上続きました。そして、先週木曜日、国防相など軍の幹部らが、バシール大統領の身柄を拘束し、今後2年間、暫定的に統治すると宣言したのです。

Q2:
それで一件落着とはならなかったわけですね。

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A2:
はい。デモの参加者たちは、バシール大統領を支えてきた軍が権力を握ったことに強い拒絶反応を示したため、暫定政権のトップの座についた国防相は、わずか1日で辞任しました。後任には、軍の中将が指名されましたが、民衆は、直ちに民政に移行するよう要求して、抗議デモを続けています。

Q3:
この政変をどう見れば良いですか。

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A3:
実は、北アフリカのアラブの国、アルジェリアでも、20年間、政権を握ってきたブーテフリカ大統領が、民衆の抗議デモの末、2週間前に辞任に追い込まれたばかりです。
経済問題や汚職に不満を募らせた民衆が、大規模なデモを行って、長期独裁政権を倒した両国の動きは、8年前のいわゆる「アラブの春」の第2弾とも言えます。しかし、「アラブの春」を経験したシリアやイエメンは激しい内戦に陥り、リビアも、今、国家分裂の危機に直面しています。
今年、TICAD・アフリカ開発会議を開く日本も、アフリカの国々で起きている出来事を注視し、どう支援するか考える必要があります。

(出川 展恒 解説委員)

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