今年日本が議長国を務める6月のG20・主要国首脳会議にむけて、経済政策の議論を行う会議が11日日本時間のあすからワシントンで開かれます
Q 各国の首脳たちボートを漕いでいますね?
A はい。今回開かれるのは、財務相・中央銀行総裁会議ですが、G20全体の状況がいまどうなっているかボートに例えてみてみます。世界経済も、ボートも協調しながら正しい方向に進むことが大事なんですが、摩擦を抱えるアメリカと中国の息が合うかどうか心配です。その一方で世界経済は、米中摩擦の影響もあって減速するおそれがでています。こうした中で、今年のG20会議では、安定した成長を維持するための取り組みについて、国際協調をはかっていけるのかが焦点となっています。
Q 米中間の協議はいまだに合意にいたらず対立が続いていますからね。
A そうですね。さらに、中国をめぐっては、一帯一路と呼ばれる巨大経済圏構想で、途上国に巨額の融資を行ってインフラを建設するんですが、相手の国が借金を返せず苦境に陥っている状況があり、各国から批判を浴びています。このため、今回の会議では、こうした問題もとりあげるなど、中国を世界経済の秩序の枠組みの中にしっかりと取り込んでいくことが大きな課題となります。ただここへ来てそれ以上に心配な点もでてきています。
Q どんな問題ですか?
A アメリカが単独で問題を解決しようという一国主義の姿勢です。もとはといえば米中貿易摩擦も、自由貿易のルールに違反する中国に対し国際機関が対応できていないとして、トランプ政権が一方的な制裁措置に踏み切ったところから始まりました。さらに先週開かれたG7主要七か国の外相会合でもポンペイオ国務長官が欠席し、アメリカは多国間の枠組みを軽視しているという指摘も出ています。しかしどのような国際協調にせよ、アメリカ抜きでは、実効性を伴わないものとなってしまいます。このため、議長国の日本としては、国際的な協調の枠組みの中に、中国をどうとりこみ、アメリカをどうひき止めていくのか。対立する大国の間で微妙なかじ取りを求められることになります。
(神子田 章博 解説委員)
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