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「原子力規制委 打合わせをAIで公開へ」(ここに注目!)

水野 倫之  解説委員

原子力規制委員会は、これまで非公開だった電力会社との打ち合わせについて、人工知能・AIによる文字おこしの形で今週から順次公開を始める。
水野倫之解説委員の解説。
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規制委員会の会合は委員会や原発の審査などは原則公開。
年間450回インターネット中継。
規制委は、福島の事故前、規制側と電力会社がなれ合いの関係にあったことを反省し、独立性中立性を掲げて事故後に発足。
真っ先に取り組んだのが議論の公開だったが、中立性が疑われるケースが相次いだ。
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実は審査の前に行われる電力会社との打ち合わせは、事実関係の確認しかしないとの理由で非公開だったが、職員がこの打ち合わせで電力会社にトラブルの報告書の内容を修正させたり、審査の方針を伝えていたことが明らかに。
更田委員長は「電力会社と結託したと見える」と一喝、打ち合わせも公開することになった。
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その方法についてはネット中継も検討されたが、打ち合わせは年間4800回あり億単位のコストがかかることから断念。
そこで文字おこしで公開することを検討し、専門的な内容が多いためAIに頼った。
ただ専門用語も多くAIでも10%は誤りがあるが、全体の趣旨は理解できることから、規制委は疑念を払しょくするためにも早く公開したほうがいいと判断、そのままサイトに掲載する。
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中立性という意味では一歩前進だが、甘い認識の職員もいたわけなので原発を厳格に審査するという規制委本来の役割を職員に再認識させていかなければ。
ただほかの省庁で事前の打ち合わせまで公開しているところはほとんどない。
去年官僚による公文書の改ざんが問題となったが、こうした取り組みが当たり前になれば防止策にもなる。他省庁に広がるかも注目したい。
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(水野 倫之 解説委員)


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