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「はやぶさ2 ミッションインポッシブルに挑む」(ここに注目!)

水野 倫之  解説委員

小惑星リュウグウへの着陸に成功した探査機はやぶさ2が、地下の岩石採取を目指してきょうからクレーターを作る世界初のミッションに挑戦。水野倫之解説委員の解説。
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クレーターは、金属の塊を地表面に激突させて作る。
はやぶさ2はきょう午後1時から降下し始め、あす高度500メートルで衝突装置を分離。
内部の火薬が爆発して金属の塊が超高速でリュウグウに衝突し、クレーターができるというわけ。
でも大きな危険。
大量に飛散する岩石の破片が本体を直撃すれば失敗に終わるかもしれず、ミッションインポッシブル、まさに決死のミッション。
危険回避のポイントは2つ、まずはうまく逃げきれるか。
衝突装置がタイマーで爆発するまでの時間は40分。
この間に、はやぶさ2はエンジンを普段の数倍噴射し、リュウグウ本体の影に隠れて身を守る計画。
地球からの指令は間に合わないので、はやぶさ2が自律的に動けるかがカギ。
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もう一つのポイントは衝突の様子を撮影する小型カメラ。
はやぶさ2が逃げる途中に放出し、破片がどのように舞い上がるか撮影して送る。
はやぶさ2の「目」の役割を果たすわけで、うまく姿勢を制御してレンズを衝突方向に向けられるかがポイント。
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ほかにも、衝突装置を分離しても機体にひっかかると40分後に自爆しかねず、その場合はタイマーが作動しないよう設定するなど様々安全対策を取っており、チームメンバーは「人事は尽くした。あとは天命を待つだけ」と。
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こうした危険を冒してまで挑戦するのは、地下の岩石は宇宙の放射線などによる変質がなく、より太陽系ができた当時の状態を残していると考えられるから。
チームとしては再び着陸してぜひ採取し、多くの知見を得たい。
ミッションの開始まであと6時間、1回目と同様、
少しでも危うい状況があれば立ち止まる勇気も持って挑んでほしい。
(水野 倫之 解説委員)


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