EU・ヨーロッパ連合は10日、緊急の首脳会議を開いてイギリスの離脱の延期を認めるかどうか協議します。
Q.イギリスの離脱は今月12日が期限でしたね。
はい。8時間の時差があるので日本時間ですと13日午前7時まで、残りわずか3日です。迷走を続けるメイ首相にEUは助け船を出すのか、それともこれ以上の延期を認めず突き放すのか、10日の会議でEU首脳は重大な決断を迫られます。
メイ首相がEUと合意した離脱協定案はイギリス議会で3度否決され、先月29日の離脱は今月12日まで延期されましたが、その期限も近づき、メイ首相は6月末までの延期をEUに求めています。同時に野党・労働党と協議を続けていますが今のところ大きな進展は見られていません。
Q.EUは再延期を認めるでしょうか。
その可能性は高いと見られますが、各国首脳はこれ以上イギリスに振り回されるのは御免だとして、延期を認める条件として離脱に向けた明確な方針を示すよう求めています。EU離脱交渉はよく離婚調停にたとえられますが、今の状況は、別れ話を持ち出した当人が、家を出る日が近づくたびに先延ばししようとしているようなものだけに、EU側が苛立つのも当然でしょう。トゥスク大統領は最大1年の延期を提案していますが、フランスのマクロン大統領など一部首脳は「1年は長すぎる、年内までだ」としています。いずれにしても5月のヨーロッパ議会選挙までにイギリス議会で協定案が承認されない限り、長期延期によってイギリスは選挙への参加が義務付けられ、EUとの完全な決別を求める与党内の強硬派の反発も予想されます。
Q.合意がないまま離脱となる可能性もあるのでしょうか。
EUは再交渉には応じない方針を変えていませんが、合意なき離脱はEUにとってもダメージが大きいだけに避けたいところです。ただ、どれだけの延期を認めるか各国の立場は異なり、決定には27か国の全会一致が必要です。離脱の長期延期の結果、イギリスが関税同盟にとどまるか、あるいは離脱そのものを取りやめることになれば、というのが首脳たちの思いではないでしょうか。
(二村 伸 解説委員)
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