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「米韓首脳会談の深謀遠慮」(ここに注目!)

出石 直  解説委員

韓国のムン・ジェイン大統領は来週、ワシントンを訪れてトランプ大統領と会談し、米朝協議の再開について意見を交わすことになりました。出石 直(いでいし・ただし)解説委員です。
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Q1、ムン大統領、トランプ大統領とキム委員長が乗っているパズルを何とかつなげようとしていますね。

A1、ムン・ジェイン大統領はこれまでアメリカと北朝鮮をつなぐ「仲介役」を果たしてきました。先日ハノイで米朝の首脳会談がありましたが、ムン大統領は「アメリカが制裁を解除できないのならば韓国が経済協力という形で北朝鮮を支援します」と制裁解除の肩代わりまで申し出ていたのです。
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Q2、しかしハノイでの米朝の首脳会談は物別れに終わってしまいました。

A2、この結果は、ムン大統領にとっては予想外だったと思います。しかも、ハノイでの会談以降、「仲介役」としての韓国の役回りが危うくなってきているのです。北朝鮮は、韓国は頼りにならないと見たのか、このところ韓国批判を強めています。
一方のアメリカも、北朝鮮との融和に突き進むムン政権を快く思っていないようです。
ムン大統領が申し出ていた制裁解除の肩代わりもアメリカは受け入れませんでした。
そんな中で来週開催されることになった米韓の首脳会談。私は会談が4月11日、この日に設定されたところに双方の深謀遠慮があると見ています。
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Q3、と言いますと。

A3、韓国にとってこの日は、日本統治下の1919年、上海に臨時政府が設立されてから100年の節目の日にあたります。ムン大統領はこの日を盛大に祝うことにしていました。しかしアメリカ政府は「この日しか日程が取れない」として、首脳会談を4月11日にセットしたのです。ムン大統領は、建国100年を祝う記念日よりトランプ大統領との首脳会談を優先しました。何としても米朝対話の再開を促したいというムン大統領の強い思いがあるからでしょう。一方、トランプ大統領も、この日に首脳会談を設定することでムン大統領に対し「アメリカの同盟国なのだから、もっと北朝鮮に圧力をかける役割も担って欲しい」というメッセ―ジを発しているのではないでしょうか。来週の米韓の首脳会談は、こうした“北朝鮮との距離感”が問われる会談になりそうです。
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(出石 直 解説委員)

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