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「米中首脳会談いつ開催?」(ここに注目!)

髙橋 祐介  解説委員

イラスト解説ここに注目です。貿易問題の最終決着をめざして、トランプ大統領と習近平国家主席による米中首脳会談はいつ開かれるでしょうか?髙橋解説委員です。

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Q1)
けさのイラストは着ぐるみですか?
A1)
きょう(3日)から首都ワシントンで交渉を再開する“タカ派”のライトハイザー通商代表と比較的“ハト派”のムニューシン財務長官、中国の劉鶴副首相にはその名の通り“ツル”に扮して頂きました。今回の閣僚級交渉の進展次第で、これまで延び延びになっていた米中首脳会談は、早ければ4月中にも開催のメドが立つかも知れません。ただ、トランプ大統領は「素晴らしい取引でない限り妥協に応じるつもりはない」と述べ、強気の姿勢を崩しません。

Q2)
アメリカ側は何を求めている?
A2)
大きく分けて3つ。▽アメリカの“知的財産権”を中国が尊重し保護すること、▽アメリカ企業の“市場アクセス”を中国がもっと開放すること、▽そしてアメリカがいま最も重視しているのが、そうした合意の“履行システム”です。“履行システム”と言いますのは、合意文書に双方が署名しても、約束が守られなければ、ただの紙切れになってしまいます。そこで、米中両政府が定期的な協議の場を設けた上で、何らかの合意違反が確認された場合、アメリカが関税引き上げなどの制裁措置をふたたび科しても、中国が報復を行えない仕組みが必要だというのです。しかも、中国側が強く警戒し、首脳会談の早期開催を難しくしている要素もあります。

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Q3)
それは何ですか?
A3)
トランプ流のいわば“ちゃぶ台返し”です。先の北朝鮮との首脳会談のように、トランプ大統領が交渉のテーブルを土壇場でひっくり返せば、中国側は「一帯一路サミット」という重要な外交イベントを4月下旬に控えて、習主席の面子が丸つぶれになりかねません。そこで、関係者によりますと、中国は仮にそうした事態になっても面子を保てるように、習主席による次の訪米は、ことし米中の国交樹立から40年になったのを記念して“国賓”として受け入れるようアメリカ側に打診していると言います。このため、米中首脳会談の調整には、さらに時間がかかり、貿易問題の最終決着は5月あるいは6月以降にずれ込んで交渉が長期化するのではないか、そんな観測も出始めています。

(髙橋 祐介 解説委員)


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