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「新元号きょう決定 現代の『難陳(なんちん)』はどうなる」(ここに注目!)

増田 剛  解説委員

政府は、きょう、新しい元号を決定します。
政治担当の増田解説委員に聞きます。

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Q1)
増田さん、この「難陳」、耳慣れない言葉ですが、何でしょうか。

A1)
はい。「難陳」とは、江戸時代以前の、元号を天皇が定めた時代、具体的な元号案を審議した会議のことです。

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参加した公家が、「この案はダメだ」というのが「論難」で、「この案が良いのは、こういう理由だ」というのが「陳弁」。侃侃諤諤の議論を闘わせたので、「難」と「陳」の字を組み合わせて「難陳」となりました。
ときに、長時間に及び、喧嘩沙汰になることもあったそうです。そして、現代において、この「難陳」に相当するものと言えば、当時とは、制度も時代背景も全く違うので、ちょっと強引なんですが、このあと、3時間半後に開かれる「元号に関する懇談会」かと思います。

Q2)
新元号の原案は、この懇談会で初めて示されるんですよね。

A2)
そうです。このあと、午前9時半から開かれる懇談会で、政府が数個の原案を示して意見を聞きます。

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懇談会のメンバーは、ノーベル賞を受賞した京都大学の山中伸弥教授、直木賞作家の林真理子さんら9人が内定しています。
前回の平成改元の際は、メンバーは8人で、このうち女性は1人でした。今回は、女性が2人に増えました。昔の「難陳」に参加した公家は、みな男性ですので、今回の手続きを歴史的にみると、一応、最も多く女性が関わることになります。
もちろん、まだまだ少ないと思いますが。

Q3)
懇談会でどういう議論が行われるか、気になりますね。

A3)
そうですね。また、前回は、懇談会が始まってから新元号が発表されるまで1時間半でしたが、今回、政府は、2時間を想定しています。多少ですが、時間を増やしているんです。
というのは、前回は、懇談会に、「平成」「修文」「正化」の3つの案が示されたんですが、「実は、政府は、最初から『平成』にするつもりで、そのように議論を誘導した」という関係者の証言もあるんです。今回、政府は、そうした「結論ありき」との批判をされないよう、若干、時間を増やすことにしたようです。
今回の懇談会で、昔の「難陳」さながらの侃侃諤諤の議論を期待するとまでは言いませんが、実質的な議論は行われるのか。女性が増えた分、女性ならではの視点が反映される余地はあるのか。注目したいと思います。

(増田 剛 解説委員)

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