ここに注目です。統計不正問題の影響を受けて、
現在、雇用保険が少なく支給されている人、およそ76万人に対し、
きょうから本来の額での支払いが始まります。竹田 忠 解説委員です。
[ 満員の会場から、大きな声が聞こえてきそうですが? ]
そうなんです。皆、怒ってるんです。
統計不正問題は、いろんなところに論点が広がっていますが、
重要なのは、人が困っているときに
必要なお金がチャンと支給されてなかった!
しかも、のべ2000万人に対して
総額500億円以上も支給が少なかった。
そこに強い批判が出ているわけです。
[ 2000万人と比べると、76万人は、まだわずかです。 ]
そうなんです。今回の対象は、あくまで雇用保険を現在、受けている人です。
具体的には失業手当や、育児休業や介護休業の給付金を今受けている人です。
同じように統計不正の影響を受けている労災保険や船員保険も
来月以降、順次、本来の額になります。
ただ、この会場の大半の人は、
過去に、こうした手当をもらった人たちで、
そうした過去の不足分の支給というのは、
まだ先の、今年の秋以降、ということになります。
[ なぜ、そんなに時間がかかるんですか? ]
実は、のべ2000万人のうち、
半分の1000万人の住所がまだわかっていない。
そこで厚生労働省は、これから古いデータを復活させて、
それを住基ネットで照合して捜すわけですが、
それでも見つけ出しにくいのは、
給付を受けた後、結婚や離婚で名前が変わった人、
それからいろんな事情で、住民票の住所と違うところにいる人、
こうした人を探し出すのは難しい。
そこで、厚生労働省は、
きょうからHPで、住所登録フォームというものを公開して
2004年以降、こうしたことに該当する人は
自分で住所を直接登録するよう、よびかけをはじめます。
[ そうすれば、ひとまずは安心ですか? ]
そうなんですが、もう一つ、注意が必要なことがあります。
それは、サギなんです。
給付金が少なかったので、追加で支給します、というのは
いわゆる還付金サギと、非常に説明が似ています。
なので、これから便乗サギが増えるおそれがある。
厚生労働省は、この件について
電話や訪問で直接問い合わせをすることはない、と言っていますので、
くれぐれも注意してほしいと思います。
(竹田 忠 解説委員)
この委員の記事一覧はこちら