きょうから参議院予算委員会で新年度予算案の実質的な審議が始まる国会について伊藤解説委員です。
Q1:このイラストは、与野党の論戦の舞台ですね?
A1:ええ。この国会の舞台で、まず、スポットライトを浴びたのが、統計をめぐる問題でした。「毎月勤労統計調査」が、長年にわたり不正な手法で行われ、のべ2000万人の雇用保険などの給付が、本来の額より少なくなっていたことがスタートでした。その後、厚生労働省の対応などこの間の経緯や第三者による実態解明の進め方が議論になりました。さらに、野党側は、調査方法の変更に総理大臣官邸の圧力があったのではないかと追及したのに対し、政府側は統計の精度を高めるためのものだったと関与を否定。数字や専門的な用語が飛び交う中、厚生労働大臣の責任問題なども絡んで、統計をめぐる論点は、広がりながら、次々に移っていきました。
それだけ問題点が多く、根が深いということなのでしょうが、肝心の再発防止や統計への信頼回復までは、たどりつけていない状況です。
Q2:舞台が明るくなり、次々に課題が浮かび上がってきましたね?
A2:ここに来て、議論すべきテーマの幅も広がってきているのではないでしょうか。
日本経済の現状と消費税率の引き上げについては、政府の増税対策も具体化してきています。また、痛ましい児童虐待を防ぐための法改正をどうするかは、緊急性がある課題です。そして、先の米朝首脳会談を踏まえた外交・防衛政策、沖縄の県民投票の結果を受けた基地問題、さらに、まもなく東日本大震災の発生から8年、今後の復興方針、来月からは外国人材の受け入れも拡大します。今、議論すべき内外の重要課題はたくさんあります。
Q3:今後の論戦のポイントは?
A3:論戦を見ている国民の関心と疑問にこたえることができるかどうかだと思います。今月は、統一地方選挙前半の知事選挙などが告示されますし、夏には参議院選挙が控えていますから、与野党の対決色は強まっていくでしょう。限られた時間で、多くの論点から、何を優先し、何を訴えるのか。そして、国民本位の論戦を深めていけるのか、各党の戦略が問われることになります。
(伊藤 雅之 解説委員)
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