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「米朝首脳会談 日本政府は?」(ここに注目!)

権藤 敏範  解説委員

アメリカのトランプ大統領と北朝鮮のキム・ジョンウン朝鮮労働党委員長の2回目の米朝首脳会談は合意に至りませんでしたが、日本政府は、トランプ大統領の判断を支持するとしています。権藤解説委員です。

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Q1)日本政府が「支持する」というのは、どうしてですか?

A1)イラストの安倍総理が抱えているように、日本には、北朝鮮との間に、「拉致・核・ミサイル」という3つの問題があります。
このうち、核の問題をめぐっては、完全な廃棄がなければ経済制裁を解除すべきではないと、繰り返し、アメリカ側に伝えてきました。ただ、政府内には、成果を得たいトランプ大統領が安易に譲歩するのではないかという懸念がありました。それだけに、「日本を含むパートナーと築き上げてきた信頼を傷つけたくない」として北朝鮮の要求に応じなかったのが、評価できる理由の1つだと思います。

Q2)日本にとってはミサイルも重要な問題ですよね?

A2)それが、支持のもう1つの理由です。
北朝鮮は、おととし11月以降、弾道ミサイルを発射していませんが、日本を射程に収める弾道ミサイルを数百発保有し、実戦配備していると見られています。
トランプ大統領は、「キム委員長が、『ミサイルと核兵器の実験は凍結する』と約束した」と説明しています。アメリカが重視しているのは、アメリカ本土に届くICBM=大陸間弾道ミサイルの廃棄です。ですから、安易な妥協の結果、日本を射程に収めるミサイルが残されてしまうという懸念もあったのです。こうしたことからもトランプ大統領の判断を支持するとなったのです。

Q3)会談では、拉致問題も話し合われたのですよね?

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A3)トランプ大統領は、安倍総理の要請を受けて、1対1の会談と夕食会の2回にわたって、キム委員長に、拉致問題を提起したということです。とはいっても、米朝の非核化協議の行方が見通せない中、拉致問題の協議もなかなか進展しそうにありません。
こうしている間にも、拉致被害者や家族らの高齢化は進み、「今が、被害者を取り戻す最後の機会だ」と話す人もいます。
安倍総理は、日朝首脳会談で解決を目指す決意を示しており、日本政府には、主導的な立場で、より戦略的な取り組みが求められていると思います。

(権藤 敏範 解説委員)

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