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「アメリカ 有人飛行再開へ秒読み」(ここに注目!)

水野 倫之  解説委員

NASAは、スペースシャトル以来となる有人宇宙船を完成させ、今週末、宇宙ステーションに向けて無人の試験飛行を実施予定。水野倫之解説委員による解説。

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新型の宇宙船はシャトルのような飛行機型ではなく、月面着陸を果たしたアポロによく似ている。あさって試験を行うのはクルードラゴンと呼ばれる宇宙船で、7人乗り。
数千ものスイッチがあったシャトルに対し、すべてタッチパネル。
ステーションへのドッキングも自動で、飛行士が操縦にあまり関与しなくてもよい設計。

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最大の特徴は世界で初めて民間が開発した有人宇宙船という点。
NASAは有人月面探査やその先の火星探査を長期目標に掲げているが、これには莫大なコストがかかる。
そこでコスト削減と宇宙産業育成のため宇宙ステーションのような近場への輸送は民間に委託して、浮いた資金を惑星探査に回す方針。
民間はすでにステーションへの物資の輸送を担うなど実績あり、国策で進められてきたアメリカの宇宙開発は民間主導へと様変わり。
背景にあるのは豊富な宇宙人材。NASA出身の技術者や若者がベンチャーに集まり衛星を使った宇宙ビジネスが盛んになり、将来的には月旅行を目指そうという勢いがある。
今回、物資輸送船を改良し、飛行士の緊急脱出装置や二酸化炭素の除去など生命維持に必要なシステムを加え、試験飛行で検証し、今年夏の有人飛行再開を目指す。
現在アメリカは有人飛行はロシア頼みで、1人当たり80億円以上の負担を強いられ、自前の有人技術獲得が悲願だっただけに関心が高まっている。

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また、今年末に宇宙ステーションに滞在予定の日本人飛行士野口聡一さんが乗り組む可能性もあってすでに訓練を受けており、あさっての試験飛行が注目される。

(水野 倫之 解説委員)

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