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「『竹島の日』 日韓の遠い雪解け」(ここに注目!)

増田 剛  解説委員

イラスト解説「ここに注目」です。
きょうは、島根県の「竹島の日」。
今年は、日韓関係が極度に悪化する中で、この日を迎えました。
日韓関係はどうなるのか。増田解説委員に聞きます。
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Q1)
この「竹島の日」は、島根県が定めているものですよね。
A1)
はい。島根県が条例で定めているものです。
島根県は、竹島が明治時代に県の所管となった2月22日を「竹島の日」と定め、毎年、松江市で記念式典を開いています。
政府は、第2次安倍内閣の発足以降6年連続で、この式典に政務官を派遣していて、今年も、内閣府の安藤政務官を派遣します。
日本政府がお墨付きを与えている格好ですね。
今年は、イラストにもありますように、日韓関係が「極寒期」といわれるほど冷え切った中で、この日を迎えることになりました。

Q2)
韓国は、どう反応するでしょう。
A2)
韓国政府は、これまでも、日本政府の対応に反発し、抗議してきましたから、今回、例年以上に激しく反発するのは確実でしょう。
しかも、先週15日と今週17日から18日にかけて、韓国の海洋調査船が、竹島周辺の日本の領海に入ったことが確認されました。
政府は「わが国の同意のない調査活動は認められない」と抗議しましたが、韓国側は、「竹島周辺は韓国の領海だ」という従来の主張を繰り返しました。韓国側には、きょうの「竹島の日」を前に、「実効支配しているのは我々だ」と誇示する狙いがあったのかもしれません。
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Q3)
日韓が反発を繰り返す悪循環ですね。
A3)
はい。こうした中で、私が特に懸念しているのは、従来、比較的良好だったとされる日韓の防衛協力までが縮小していることです。
防衛省は、4月下旬に護衛艦「いずも」をプサンに寄港させる計画でしたが、「交流を深める環境にない」と見送りを決めました。
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Q4)
今後の日韓関係、どうなるでしょう。
A4)
厳しい状況が続きそうです。
来週の3月1日は、韓国にとって、日本の植民地支配下での独立運動「三・一運動」から100年の節目となります。ムン・ジェイン政権内には、この日を北朝鮮と共同で大々的に祝う計画すらありました。
今後、韓国で反日世論が更に高まるのは確実でしょう。
2月も下旬に入り、春の到来が近づいてきましたが、こと日韓関係については、雪解けは遠いと言わざるを得ません。
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