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「【妊婦加算】凍結でどうなる?医療と負担」(ここに注目!)

堀家 春野  解説委員

妊婦が医療機関を受診した際に医療費に上乗せされる「妊婦加算」が凍結されたことを受け、厚生労働省は有識者会議を立ち上げ、今後の医療体制の検討を始めます。
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Q)妊婦加算、大きな議論になりましたよね。
A)はい。加算は妊婦さん本人が窓口で支払う医療費に上乗せされます。
妊娠中の診療はお腹の赤ちゃんへの配慮が欠かせませんし、高齢出産も増えているので合併症への注意も必要です。ですので、この加算は丁寧な診療の対価として医療機関に支払われるものだったんです。実は、産婦人科以外の診療科では風邪などの一般的な診療でも妊婦さんを敬遠するところがあり、ただでさえ数が少ない産婦人科に患者が集中するという指摘があったんです。
ですので、加算は他の診療科にも妊婦さんの診療に関わってもらうための誘導策でもあったんです。
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Q)そうした事情、あまり知られてませんよね。
A)そうなんです。周知不足のため、窓口でいきなり加算を請求された妊婦さんの間に不信感が広がりました。加えて制度設計の甘さもあり、SNSを中心に「妊婦税だ」とか「少子化対策に逆行する」といった批判が相次ぎ、導入から9か月で凍結されたんです。
ですが、肝心なことが議論されていないんです。
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Q)肝心なこととは何でしょう。
A)妊婦さんに対する医療を充実させつつ、その負担をどうするのかという点です。
医療現場には丁寧な診療をしてもらう医療機関を増やすためには加算のような誘導策は必要だという声は根強くあります。実際に診療を受ける妊婦さん本人に納得してもらった上で負担してもらうべきだといった意見がある一方で、子育て支援として子どもの医療費と同様に社会全体で分かち合うべきだといった声もあります。妊婦さんの医療費について独自に助成を行っている自治体もありますが、財源が必要ですので少数に止まっています。
医療の充実と負担をどうするのか妊婦加算の問題をきっかけに、幅広く議論する必要があると思います。
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(堀家 春野 解説委員)

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