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「つまめるか?原発溶融燃料」(ここに注目!)

水野 倫之  解説委員

福島第一原発の廃炉の最難関となる溶け落ちた燃料の取り出しに向けて、東京電力は
きょう2号機で、燃料とみられる溶融物に初めて触れてつまむ調査を行う。
水野倫之解説委員の解説。
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溶けた燃料の状況についてはこれまで2号機と3号機で溶融物が撮影されていますが、
これをどう取り出すか決めるには、まだまだ内部の情報が足りない。
ただ2号機では去年、格納容器の底に、原子炉から落下したとみられる核燃料の一部が見つかった。周りには溶けた燃料とみられる堆積物が小石のように広がっている様子も確認されるなど、状況が最もわかっていることから、今回触れて性状を詳しく調べる。
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ただ容器内は極めて放射線が強いので釣り竿のようなパイプ入れて、釣り糸をたれるように調査機器を容器の底まで下ろす。この機器には2本の‘指’もついていて、これで堆積物に触わる。指の握力は700グラムあり、触ることで硬いのかもろいのかわかるし、指で小石状の溶融物をつまんで、持ち上げることができるかにも挑戦。
ただつまめても取り出しまではしない。
最大の目的は、安全に取り出すために当面どんな器具が必要になってくるのかを見極めること。
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今回つまめれば、指をさらに発展させた器具や回収容器を開発することになるし、
硬くて動かなければ、ドリルやカッターのような器具が必要になってくることが分かるというわけ。
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溶け落ちた燃料の取り出しは世界でも初めてのことでなかなか一気に取り出しとはいかない。
政府と東電は2021年から本格的に取り出すことを目指していて、
そのためには最初に取り出す号機を来年度中に決めなければ。
今のところ2号機がその最有力候補とみられていて、
計画通りの取り出しに目途をつけることができるのか、きょうまもなく始まる調査に注目。
(水野 倫之 解説委員)


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