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「世界銀行 次の総裁は誰に?」(ここに注目!)

髙橋 祐介  解説委員

途上国の開発を支援する世界銀行の次の総裁に、アメリカがどのような候補を指名するかに注目が集まっています。髙橋解説委員です。

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Q1)
そもそも世界銀行という国際機関のトップを、なぜアメリカが指名する?
A1)
世界銀行はアメリカから、IMF=国際通貨基金はヨーロッパからそれぞれトップを選ぶのが、創設以来この70年以上も続く“暗黙のルール”だからです。アメリカは、世界銀行の最大の出資国として、その運営に大きな影響力を持ち、歴代の総裁もこれまで全員アメリカ国籍を持つ男性でした。オバマ前大統領が指名したキム前総裁は「個人的な事情」を理由に任期途中で辞任したため、トランプ大統領が後任選びを担当する長女のイバンカ補佐官らとともに、候補者リストとにらめっこしているのです。

Q2)
トランプ大統領はどんな人物を選びそう?
A2)
今のところ、世界銀行による中国向け融資を批判して“対中強硬派”とされるマルパス財務次官のほか、女性候補も含めて数人の名前が取り沙汰されています。ただ今回は、そうしたトランプ大統領の意向が、必ずしも他の加盟国からすんなり支持されるとは限らないかも知れません。

Q3)
どうして?
A3)
欧米主導の総裁選びには、中国やインドなど新興国から不満が根強いからです。しかも、いま世界銀行は途上国による“地球温暖化対策”の支援に力を入れていますから、トランプ大統領が指名する人物がどこまで積極的に取り組むか?ヨーロッパ各国も警戒しています。総裁候補は今週7日から受付が始まり、アメリカ以外から“対立候補”が出てくるかも知れません。

Q4)
では、世界銀行の次の総裁はどうやって決まる?
A4)
立候補の受付は来月半ばに締め切られ、ことし4月半ばまでに理事会が次の総裁を決定します。日本もアメリカに次ぐ第2の出資国として理事会に発言権があります。ポイントは“能力本位”の選考でどこまで“透明性”を確保できるかです。総裁候補本人が、みずからの考えを公に明らかにする場も必要になるでしょう。はたして世界銀行のトップに相応しい人物を選べるか?次の総裁選びは「アメリカ第一主義」のトランプ政権が、途上国支援の“本気度”を試される機会になりそうです。

(髙橋 祐介 解説委員)

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