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「大詰めの議論 再審『大崎事件』」(ここに注目!)

清永 聡  解説委員

40年前、鹿児島県大崎町で男性が遺体で見つかり、殺人などの罪で服役した女性が再審=裁判のやり直しを求めている「大崎事件」。ここまで地裁と高裁がいずれも再審を認め、検察が最高裁判所に特別抗告しています。
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Q:どのような事件なんでしょうか。
A:昭和54年に義理の弟を殺害したなどとして、原口アヤ子さんという女性が殺人などの罪に問われました。懲役10年が確定してすでに服役を終えています。現在91歳ですが、一貫して無実を訴えて再審を求めています。

Q:この事件はすでに地裁と高裁で、再審が認められているんですね。
A:「被害者は転落事故などで亡くなった可能性が高い」という鑑定結果が根拠になりました。つまり殺人事件ではなく、亡くなったのは事故だった可能性を示したんです。しかし、検察はこの判断を不服として去年3月に特別抗告し、今は最高裁で審理されています。
最高裁は去年、地裁と高裁が再審を認めた別の熊本県の殺人事件で、検察の申し立てを11か月で退けました。今回も地裁と高裁で再審が認められ、検察が特別抗告するという似た経過をたどっています。すでに10か月になるため、弁護団は最高裁の決定も近いのではないか、と考えていました。ところが1月、別の動きがありました。
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Q:何があったんですか。
A:弁護団によると、検察が1月中旬になって鑑定の信用性を否定する意見書を最高裁に提出したということです。弁護団はこれに猛反発。というのは、弁護団によると、検察は特別抗告した時に書面を出して以降、これまで意見書を出していなかったということです。それが、10か月になるこの時期になって、初めて意見書を提出したため、「審理の引き伸ばしだ」と怒っているわけです。
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Q:でも、ここで争い続けると、また審理が長引く恐れもありますね。
A:それが心配です。弁護団は近く反論の意見書を提出する方針ですが、最高裁には、1日も早く再審開始を確定させるよう求めています。
91歳の原口さんは現在、病院に入院中です。十分言葉を話すこともできません。最高裁は、原口さんが高齢であることや健康状態も考慮して、できるだけ早く判断を示してほしいと思いますし、審理を長引かせることがないよう心がけてほしいと思います。
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(清永 聡 解説委員)

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