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「イエメン 停戦は維持できるか?」(ここに注目!)

出川 展恒  解説委員

内戦による人道危機が深刻化する中東のイエメンでは、先月、食料などを運び込む拠点の都市で停戦が発効し、この停戦を維持できるか、重要な局面を迎えています。
出川解説委員です。
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Q1:
イエメンの内戦、大勢の子どもたちが、食料不足で亡くなっていますね。

A1:
はい。イエメンの内戦は4年近くに及び、すでに8万5千人を超える子どもたちが餓え死にするなど、「最悪の人道危機」と言われています。食料などを海外から運び込む大きな港がある都市ホデイダで、激しい戦闘が続き、人々に食料などを届けることができないからです。先月、国連の仲介で、ハディ政権と反政府勢力が協議して、ようやく、ホデイダに限定した停戦で合意しました。
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Q2:
それによって、人道危機は改善しているのでしょうか。

A2:
いえ。ホデイダから食料などを人々に届ける作業は、ほとんど進まず、人道危機は全く解消されていません。停戦合意では、政権側、反政府勢力側の双方が、ホデイダから部隊を撤退させることになっていますが、まだ実行されていないからです。
ホデイダでの停戦自体は、この1か月間、おおむね守られてきましたが、ホデイダ以外の地域では、戦闘が収まっていません。先週も、反政府勢力側が、政権側の軍事基地を攻撃し、6人が死亡しました。
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Q3:
まだ、安心できませんね。

A3:
はい。停戦は、非常に脆く壊れやすい状態です。政権側と反政府勢力側の不信感が根深いことに加え、双方の後ろ盾となっているサウジアラビアとイランの「代理戦争」の様相を呈しているからです。
もし、ホデイダでの停戦が崩壊すれば、問題解決への希望はありません。逆に、停戦を維持できれば、人道危機の解消と、内戦終結に向けた突破口となりえます。
それだけに、停戦合意を双方に守らせる体制をつくることが何よりも重要です。国連の停戦監視団の先遣隊が、先月からホデイダで活動してきましたが、その任期は今週末で切れます。このため、国連安全保障理事会が、停戦監視団の本体を現地に派遣するための決議を、今週中に採択できるかどうかが注目されます。
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(出川 展恒 解説委員)

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