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「1票の格差 最高裁の憲法判断は」(ここに注目!)

清永 聡  解説委員

去年10月に行われた衆議院選挙のいわゆる1票の格差について、最高裁判所大法廷が19日午後に判決を言い渡します。最大で1.98倍だった格差を最高裁が憲法上、どう判断するのでしょうか。

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Q:衆議院と最高裁が将棋をさしています。
A:国会の格差是正をどう判断するか、最高裁が考えているところです。ここまで衆議院選挙の1票の格差は2倍を超えていましたが、去年は1.98倍と小選挙区制が導入されてから初めて、2倍を下回りました。最高裁はここまで3回連続で、2倍を超えた格差を、憲法に違反する状態である「違憲状態」としてきました。

Q:今回の裁判、ここまで高等裁判所はどう判断してきたのでしょうか。
A:高裁や高裁支部の判決は憲法に違反しない「合憲」が15件、「違憲状態」が1件でした。このため最高裁の判決で、衆議院選挙としては実に12年ぶりに「合憲」となるのでは、という声もあります。
ただ、訴えを起こした弁護士グループは「2倍の格差まで許されるという誤ったメッセージになる。国家権力の正当性にかかわる問題だ」として、憲法違反による選挙の無効を求めています。
こうした裁判が繰り返し起こされてきたのは、選挙が今の民主主義の根幹だからです。同じ1票を投じてもある地域では0.5票の価値しかないとしたら、それは適正な選挙と言えるのか、ということです。

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Q:そうすると2倍未満に縮小したことを最高裁がどう判断するかが注目点ですね。
A:一方で、格差を減らすため、全国で大幅な区割りの見直しが行われました。その結果、例えば東京・中野区では区の真ん中で2つに分けられ、商店街の道路を挟んで選挙区が異なる地域もありました。反対に岩手県では、面積が本州で最も広くなった選挙区もあります。地元から「生活実態を反映していない」「広すぎて有権者の声が届かない」といった反発も出ています。

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Q:次の一手も必要ですね。
A:国会は今後、2020年の国勢調査に基づいて、都道府県ごとの小選挙区の数を見直すとしていますが、1票の格差の問題は参議院も抱えています。今回の判決も踏まえて、「格差の解消」と「地域の実情」をどう両立させていくか、さらに問われることになります。

(清永 聡 解説委員)

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