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「劇場でフェンシング なぜ?」(ここに注目!)

小澤 正修  解説委員

今月9日、ことしのフェンシングの全日本選手権決勝が、なんと劇場で行われます。小澤正修 解説委員です。

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Q。体育館ではなく、劇場で開催するのですか?

A。
ことしの決勝の舞台は、東京グローブ座。シェイクスピア作品を中心とした演劇やミュージカルの舞台となる劇場で行われます。意外性が話題を呼び、およそ600人ぶんのチケットは、40時間で完売しました。客席が近く、選手の息づかいや、剣の重なる音も聞こえて、暗い場内でステージの選手が目立つような照明の使い方もしやすい。実際は、ユニフォーム姿で戦いますが、フェンシングは中世の騎士をもとにしたスポーツですから、劇場の雰囲気とマッチして、演劇をみるような感じになりそうです。

Q。なぜフェンシングの大会がここで?

A。
仕掛け人は去年日本フェンシング協会の会長に就任した太田雄貴さんです。フェンシング日本代表は太田会長自身が北京オリンピックで史上初めてメダルを獲得して以降、徐々に国際大会で結果を残し、東京オリンピックでの活躍も期待されています。しかし、国内では日本一を決める全日本選手権ですら、300人程度しか観客が集まらず、太田会長は「認知」と「人気」は違うことを痛感したと言います。そこで選手強化はもちろんですが、「フェンシングって面白い」と思ってもらえるようなエンターテインメント化を進めているのです。

Q。東京オリンピックを控えて、競技を根付かせたい思いなのですね

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A。
その通りです。ただ、それだけでなく東京オリンピックの後も見据えています。協会の年間収入はおよそ6億円。プロ野球で言えば最高年俸の選手1人ぶんで、海外遠征を含めた選手強化を含め、運営全てをやりくりしているのが現状です。しかもその半分近くが国からの助成金です。今はオリンピックを控えて助成金も増えていますが、こうした助成金に依存する財務体質から脱却しないと、将来の組織運営は厳しいという危機感を持っているのです。ことしは、体育館に比べて観客数は少なくなりますが、チケットの平均価格を3000円程度あげて収益性を高め、スポンサーを去年の6倍も集めることができたと言います。フェンシングが目指す改革の象徴とも言える、全日本選手権決勝に注目です。

(小澤 正修 解説委員)

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