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「支持率急落 韓国ムン大統領」(ここに注目!)

出石 直  解説委員

韓国のムン・ジェイン大統領の支持率が急激に下がってきています。
背景には何があるのか。出石 直(いでいし・ただし)解説委員です。

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Q1、そんなに支持率が落ちているのですか?

A1、ムン大統領の支持率はもともと非常に高かったのです。5月には83%と80%を超えていました。その後、じりじりと下がって9月にはついに50%を割り込みました。また少し持ち直したものの、最近は50%台前半で低迷しているのです。

Q2、ずいぶんとアップダウンが激しいですね。

A2、理由ははっきりしています。
▽2月からの急上昇、これはピョンチャンオリンピックです。南北の融和ムードが一気に広がりました。
▽4月からぐんと支持率が上がったのは、パンムンジョムで行われたキム・ジョンウン委員長との南北首脳会談。
▽9月からの急上昇は、ピョンヤンで行われたことし3回目の南北首脳会談です。
南北の融和ムードが支持率を押し上げてきたのです。

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Q3、では支持率が落ちてきたのはどうしてなのでしょうか?

A3、その理由は経済です。労働組合を支持基盤とするムン・ジェイン政権は、発足後、立て続けに最低賃金の大幅な引き上げに踏み切りました。ひとりひとりの所得を上げることで経済を成長させるという政策でした。確かに世帯収入は増えましたが、増えたのは富裕層ばかり格差は広がる一方です。最低賃金の引上げは人件費の高騰につながり、中小や零細業者を圧迫して雇用環境はかえって悪化する結果を招いてしまいました。とりわけ若者の失業率は10%前後と高い状態が続いています。
経済は低迷、頼みの北朝鮮も核問題はなかなか進展せず米朝の対話も止まったままです。
これが支持率の低下につながっているのです。

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Q4、日本との関係も冷え込んでいますよね。

A4、元徴用工をめぐる裁判や元慰安婦を支援する財団の解散で、日韓関係はかつてないほど悪化しています。ムン大統領は支持率の回復を狙ってますます北朝鮮への接近を図っていくものと見られます。日本は、北朝鮮との融和に慎重な立場ですので、日本との距離はこれからさらに広がっていくかも知れません。

(出石 直 解説委員)

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