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「ブッシュ元大統領が死去 トランプ大統領は?」(ここに注目!)

髙橋 祐介  解説委員

先週末、94歳で亡くなったアメリカの第41代大統領、ジョージ・H・W・ブッシュ氏の葬儀が、あす(5日)首都ワシントンで国葬として営まれます。髙橋解説委員です。
 
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Q1)
ブッシュ元大統領って、どんな人物だった?
A1)
“東西冷戦に終止符を打ち、ドイツの再統一を後押しし、湾岸戦争も勝利に導いた大統領”そう記憶されている方も多いでしょう。当時のアメリカ経済の低迷や、保守系の“第3の候補”によって共和党の票が割れたことなどから再選は果たせませんでした。しかし、「1期限りの大統領としては最も成功を収めた」と称えられています。退任後、私もインタビューする機会があったのですが、周囲に常に気を配り、“公への奉仕”をモットーにした高潔な人柄は誰からも慕われました。

Q2)
トランプ大統領とは確執もあったようですが?
A2)
“古き良き共和党”を代表する政治家として、トランプ氏の傍若無人な言動を「ほら吹き」と呼んで嫌い、息子の元大統領とともに、2年前の共和党大会を欠席しました。しかし、死去の報せを受けたトランプ大統領は、G20閉幕後の記者会見も急きょ取りやめ、帰国後みずからの大統領専用機をテキサスに差し向けました。棺は先ほど首都ワシントンに着き、連邦議会の議事堂に安置されます。トランプ大統領は、あすを「国民追悼の日」と定め、ワシントン大聖堂での葬儀にも参列します。元大統領に敬意を払うのは当たり前ですが、そこには実は“別の思わく”も見え隠れしています。
 
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Q3)
“別の思わく”って何ですか?
A3)
かつての共和党で主流だった穏健派への歩み寄りです。と言いますのも、先の中間選挙の結果、共和党は議会下院で多数派の座を奪われ、トランプ大統領の今後の政権運営では、共和党が多数派を維持した上院との協力が鍵を握ります。ところが、共和党の上院議員には今も、トランプ大統領が支持基盤とする保守強硬派とは一線を画す穏健派が多いのです。はたしてブッシュ元大統領の死去をきっかけに、党内の穏健派との確執を払拭できるか?もし出来ないと、仮に経済が低迷したり共和党の票が割れたりしたら、トランプ大統領もまた「1期限りの大統領」に終わってしまうかも知れません。

(髙橋 祐介 解説委員)

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