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「日ロ首脳会談・交渉の枠組みは?」(ここに注目!)

石川 一洋  解説委員

安倍総理とプーチン大統領は日ロ平和条約交渉のための新たな枠組みを作り、交渉を加速化することで合意しました。石川解説委員に聞きます。
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Q新たな枠組みとは?
A両国の総大将が、これまでの次官級では結果が出ないとして、河野外務大臣とラブロフ外相を交渉の総責任者に任命しました。
平和条約交渉は4島を求める日本と戦争の結果ロシア領になったとするロシアの間で立場の違いは埋まりませんでした。両首脳は政治家である外相に56年日ソ共同宣言を基礎に交渉を急げと命令したのです。この宣言は日ソの戦争状態を終結し、両国議会で批准された国際条約で、平和条約締結後歯舞色丹の二島の引き渡しを定めています。外相が直接責任を持つことで、現場で判断し交渉を加速させる考えです。その上で森審議官、モルグロフ次官というこれまでの交渉担当者を総理と大統領の特別代表に任命しました。
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Q実際に交渉は加速するのでしょうか
A交渉担当者を特別代表として両首脳に直属するという責任を明確にすることで、交渉を加速させようという狙いがあります。総理と大統領の意向が外相交渉、特別代表交渉という中でより直接的に反映する仕組みにしたといえるでしょう。さらに微妙な問題に際して両首脳が意思疎通のためのチャンネルの形成も図られています。
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Qどういうチャンネルですか
A今回の首脳会談に同席した総理側近の政務の今井秘書官と大統領の外交問題担当のウシャコフ補佐官のチャンネルです。両リーダーの考えを間近で分かっている二人の側近は様々な難しい政治問題に直面した時の水面下での意思疎通の役割を担うことになるかもしれません。
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Q交渉の見通しは
A来年一月には安倍総理の訪ロ、6月にはプーチン大統領が訪日し、日本側としてはそこまでに平和条約の大筋で合意したいところです。しかし日本では4島返還の旗を降ろしたのかと批判する声、一方ロシアでは二島の引き渡しにも反対する声が強いです。
日本としては56年日ソ共同宣言に書かれていない国後・択捉にできるだけ食い込みたい。ロシアは歯舞色丹の引き渡しについて、アメリカ軍が配備されない確証を求め、さらに色丹島に住む3000人のロシア人の身分保証など微妙な問題も絡むでしょう。
複雑で困難な交渉となるでしょう。
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(石川 一洋 解説委員)

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