「混乱続く 医学部不正入試」(ここに注目!)
2018年11月22日 (木)
堀家 春野 解説委員
相次いで明らかになった医学部の不正入試問題。大学入試シーズンが始まるのを前に受験生に戸惑いや混乱が広がっています。
Q)。東京医科大学では女性や浪人生の得点を操作して不合格にし、大きな批判が起きましたよね。
A)。問題が発覚してから3ヶ月以上経ちましたが、東京医科大学は11月になってようやく2017年と2018年の不正入試で不合格とされた101人を追加合格の対象にし、63人を上限に来年(2019年)、受け入れると発表しました。その分、来年の定員は減ることになります。第一志望だったので入学したいという人もいれば、すでに他の大学に通っていて一からやり直すのは難しいという人もいます。不正入試の被害者を支援する弁護団は入学を迷っている人や大学に補償を求めたいといった人の相談に応じることにしています。
Q)。受験生が被った被害は小さくありません。この問題、来年の入試にどう影響するんでしょうか。
A)。来月(12月)には医学部の一般入試の出願が始まります。
いまは志望校を絞り込む時期なんですが、なかなか決められないといういう声も聞きます。というのも、文部科学省が行った調査では、複数の大学が不適切である可能性の高い入試を行っていたとしているからなんです。大学に対し自ら公表するよう促していますが、
応じたのは昭和大学1校にとどまっています。どの大学が不適切な入試を行ったのか、
追加合格などの対応をとるのか、その場合、入学定員は変わるのか、
そうしたことが受験生に大きく影響してきます。
Q)。重要な情報が公開されない中受験に臨まざるを得ないというのは異常な事態ですね。
A)。全国の医学部長などでつくる団体が女性や浪人生を差別的に扱う入試を認めないといった入試の指針を公表してから1週間たちます。この間、指針に違反している大学が自ら公表することを期待する声もあったんですが、大学側は沈黙したままです。
そうであるならば、文部科学省が大学名を公表するべきです。
受験生に残された時間は多くはありません。速やかな対応を求めたいと思います。
(堀家 春野 解説委員)
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