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「『箱の中知らない』も詐欺になる?」(ここに注目!) 

清永 聡  解説委員

高齢者から金をだまし取った詐欺事件で、16日に最高裁判所で双方の主張を聞く弁論が開かれます。どんな事件で、何が争われているのでしょうか。

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Q:宅配便から荷物が届いています。

A:実は箱の中には、現金が入っています。裁判記録によると、この事件は、高齢者を電話でだまし、30万円を宅配便で指定の住所へ送らせる「詐欺」でした。
その荷物を受け取る役をしていた女の人が今回の被告です。ところが被告は、詐欺について説明を受けておらず、「偽名で箱を受け取り、別の男に渡せば、多額の報酬を払う」と指示されていたということです。ですから、箱も開けておらず、中が現金とは知らなかったとしています。では、この被告を詐欺の罪に問うことはできるでしょうか。

Q:ここまでの判決はどうなっていますか。

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A:1審は有罪、2審は詐欺の罪について無罪でした。被告は「箱の中身が何か犯罪に関係しているかもしれない」と思っていたということですが、2審は「それだけでは詐欺と知らなかった可能性がある」と判断したのです。

Q:最高裁の判断はどうなるのですか。

A:最高裁が弁論を開く場合、結論が変わる、つまり「無罪」が見直される可能性もあります。被告が「詐欺の可能性を認識していたかどうか」がポイントの1つでしょう。最高裁には同じ争点の事件がもう1つあり、前の週に弁論が開かれたばかりです。今回の事件の判決は、早ければ年内にも出されるとみられます。

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Q:高齢者をだます事件は後を絶ちませんね。

A:警察庁によると特殊詐欺の去年1年の被害額は390億円。1日1億円以上の被害が出ている計算です。詐欺グループは組織化しています。それだけに今回の事件での最高裁の判断が、今後の捜査に役立つことを期待する声がある一方で、たまたま荷物を預かった人が事件に巻き込まれないようにする必要もあります。
最高裁の判断が注目されます。

Q:この「宅配便で現金を送らせる手口」はすべて「詐欺」ですから、みなさんも注意してください。

(清永 聡 解説委員)

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