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「座間9人殺害事件から1年」(ここに注目!)

清永 聡  解説委員

去年10月、神奈川県座間市のアパートで男女9人の遺体が見つかった事件。30日で事件が発覚してから1年になります。SNSを通じて若い男女を次々と誘い込み殺害したとされる事件の今後について解説します。

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【「金を払った相手に話をしたい」】
Q:この事件では白石隆浩被告(28)が強盗殺人などの罪で起訴されています。
A:被害者は15歳から26歳までの男女9人に上るため、再逮捕が繰り返されました。加えて精神鑑定も行われたため、起訴されたのは先月のことです。
NHKの記者が起訴後に本人と接見しましたが、「金を払った相手に話をしたい」などと言い、動機などの質問には答えませんでした。NHKは金銭の支払いに応じておらず、面会はおよそ15分で終わっています。

【公判前整理手続きも長引くか】
Q:この後の手続きはどうなるのですか。
A:裁判の前に、検察官と弁護士、それに裁判官が事前に争点を整理する「公判前整理手続き」が行われます。しかし、これは非公開の上、裁判所によるとまだ正式な第1回は行われていないということです。証拠も膨大になるため、手続きも長引くとみられ、現段階ではいつ終わるかは分かりません。

【裁判員裁判への懸念の声も】
Q:裁判はさらに、その後ということですね。
A:これも難航が予想されます。この事件は裁判員裁判の対象ですが、被告側の主張によっては審理も長期化が予想されますし、9人もの残虐な事件を審理する市民の負担はかなり重くなるでしょう。
公判前整理手続きが終わった後、今度は裁判員を選ぶ手続きに入るわけですが、裁判員の候補を辞退する人が相次ぐおそれもあって、果たしてスムーズに始めることができるのか、懸念の声も出ています。

【“除外”制度もあるが】
Q:1日も早く裁判で事件の経緯を明らかにすべきだという声もあると思います。
A:対象事件でも、裁判員を除外して、プロの裁判官だけで審理できるという制度があります。最高裁のまとめでは、この「除外」は、これまで26件に上っていますが、いずれも暴力団の事件など裁判員に危害が及ぶ恐れがあるなどと判断されたケースです。
裁判員制度は3年前に法律が改正され「著しく長期間になる場合」も裁判官だけで審理ができるようになりました。しかし、実際にこの「超長期間」という理由で裁判員が除外された例は一度もありません。

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【再発防止考えるために】
SNSを通じて未成年者などが被害者となる事件は後を絶ちません。事件の教訓から再発防止を考えるためにも、できるだけ早く、公開の法廷で審理することが求められると思います。この事件は裁判員制度が抱える課題も浮き彫りにしているといえそうです。

(清永 聡 解説委員)

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